2018 05/25 04:28
Category : 日記
作・しらゆき
ここは、ある森のはずれのお花畑です。
今日も元気なかたつむりクンは、トロトロとのんびりお散歩していましたた。
「う~ん、今日も雨は降らないのかな」
しばらくお天気が続いたものですから、森の中が乾燥していまして、葉の雫を飲んだり、木の葉を食べてるかたつむりクンも、ちょっと疲れ気味です。
それでも、かたつむりクンは気を取り直して、のんびりトロトロお散歩していると、少し前の方に、チロチロと何か灯りが見えています。
「おやおや、あれはなんだろう?」
かたつむりクンは、近くによって灯りを見てみたら、とっても驚きました。
なんと!、枯れ木がチロチロと燃えて火がついてるではありませんか。
「これは大変だ!!」
このまま燃え続けると火事になって森の木も草もお花畑も、みんなみんな燃えてしまいます。
「このままだと大変な事になる、何とかしないと」
困ったかたつむりクンは、いっしょうけんめい考えました。
「そうだ、この森には大きな池がある、その池まで行って水を汲んできて、その水でこの火を消そう」
これは森の一大事とばかり、かたつむりクンは、水を汲もうと池を目指して歩き出しました。
しかし、かたつむりクンは歩みが遅いので、いっしょうけんめい急いでみても、なかなか前には進みません。
それでも何とかがんばろうと、かたつむりクンは、草から葉っぱへやっとこしょ、どっこいしょと急いで歩いています。
「早くしないと大火事になる」
かたつむりクンはがんばって急ぎましたが、なかなか池にはつけません。
その時、茂みの中から、ぴょんぴょんとカエルくんが、かたつむりの前に飛び出しました。
「おいおい、かたつむりクン、そんなに急いでどうしたの?」
カエルくんは、かたつむりクンに聞きました。
かたつむりクンは言いました。
「これは、カエルくんこんにちは、実は森のお花畑で枯れ木が燃えてるんだ、早く消さないとと火事になってみんな燃えてしまう、だからこれから池まで行って、水を汲んで消そうと思うんだよ」
カエルくんも驚きました。
「なるほど、それは大事だね、早く消さないと火事になるね」
カエルくんも考えました、かたつむりクンの歩みでは遅くて手遅れになってしまう。
そうだ!ボクの方が速いから代わりにボクが行けばいいんだ。
「ねぇねぇ、かたつむりクン、このままでは手遅れになってしまう、だからボクが代わりに池まで行って水を汲んできたらどうかな?」
「そうか、それは良い考えだ、カエルくんの方がずっと速いからね、ボクも続けてがんばるから、キミは先に行ってくれるかい?」
「うん、引き受けた、それではこれから池まで急いで駈けてくからね」
そういうと、カエルくんはピョンピョン跳ねて池に向かって行きました。
ピョンピョン、ピョンピョン、カエルくんは、いっしょうけんめいがんばって、跳ねて行きましたが、それでもまだまだ池にはつきそうにありません。
カエルくんは、がんばって跳ねつづける内に疲れて来てしまいました。
「はぁはぁ、ぜいぜい、息が切れてきた、困ったなぁ、疲れて跳ねられなくなってきたよ~」
カエルくんは息が切れてしまって、動けなくなってしまいました。
「どうしよう、早く行かないと森が燃えてしまうよ!」
カエルくんが困っていると、のっそりと大きな物が近づいてきました。
のっそり、のっそり。
それは、森の池に住む大きな亀さんでした。
亀さんは、カエルくんに近づくと声をかけました。
「やぁ~、カエルくん~、疲れてるみたいだけどどうしたの~?」
「わぁ亀さん、こんにちは、あのね、森のお花畑が火事なんですよ、それで、池まで水を汲みにいって、何とか火事を消したいのです」
カエルくんは、これまでのいきさつを亀さんに話しました。
「そうか~、それはご苦労さんだね~、そうだ~、それなら私も協力しよう~、池まで一緒に水を汲みに行くよ~」
「ありがとう、ボクは少し疲れてきたので助かるよ」
「がんばって跳ねてきたんだね~、それなら私の背中に乗るといいよ~、池まで運んであげるよ~」
「ほんと、ありがとう」
亀さんは、カエルくんを背中の甲羅に乗せると、のっそり、のっそり歩き始めました。
のっそり、のっそり、亀さんはカエルくんを甲羅に乗せて、池を目指して歩いています、でも、歩みが遅いのでなかなか池には着きません。
それでも、池は亀さんがいつも泳ぎに行っている所です、少しずつですが、亀さんは池に近づいて歩いています。
のっそり、のっそり、えんやこら、えんやこら。
亀さんがしばらく歩いて行きますとようやく池が見えて来ました。
「カエルくん~、ほら池が見えてきたよ~」
「うわぁ、ほんとうだ、ようやく池に着いたよ、亀さんありがとう」
カエルくんは、ピョンと亀さんの甲羅から飛び降りると、亀さんと並んで池に近づいて行きました。
目の前には、この日照りでも、きれいな水をいっぱいにたたえた大きな池があります。
でも、この水をどうして運べばいいのでしょう?
亀さんはカエルくんに聞きました。
「カエルくん~、どうして運ぼうか~」
カエルくんにも、どうしていいかわかりません。
「う~ん、少しなら運べるけど、火事を消すのならたくさんの水がいるからなぁ」
カエルくんは、そこらに何か水を入れる物がないか、辺りをキョロキョロと探して見ましたが何も見つかりません。
はてさて、どうしよう?
カエルくんと亀さんは、二人でいろいろと考えて見ましたが、なかなか良い知恵が浮かびません。
こうしている間にも、火が大きくなって森が燃えてしまうかと、それも心配です。
そうだ!
カエルくんは、ふと、あることを思いつきました。
「ねぇ、亀さん、はやく水を運んで火事を消さないと森が燃えてしまうよ、少しでもいいから水を運びたいの、それで、ボクが身体中いっぱいに水を飲み込むから、亀さんはボクの身体ごとお花畑に運んでください」
「うん、わかったよ~、でもカエルくん大丈夫かい~?」
「大丈夫だよ、ボクの身体はふくらむからね」
そう言うとカエルくんは、池に入ってゴクゴクゴクゴクと思い切り水を飲み込みはじめました。
カエルくんの身体は、水を飲むたびに風船のようにふくらんで、真ん丸になってしまいました。
「うぅ、く、くるしいぃ」
カエルくんは、身体中いっぱいに水を飲んで苦しそうです。
亀さんは、カエルくんの身体を甲羅に乗せると、のっそり、のっそり、歩き始めました。
しかし、もともと亀さんの歩みはゆっくりしてる上に、水をいっぱい飲んだカエルくんを甲羅に乗せてるので、なかなか早くは歩けません。
それでも、亀さんは一生懸命に歩き続けました。
カエルくんも、いっぱいのお水を飲んで苦しいですが、何とか火事を消さないとと我慢しています。
その時、カエルくんは、どこかで呼ぶ声を聞いたような気がしました。
おや、何だろう?
カエルくんは、辺りを見回して見ましたが、何も変わったことはありません。
空耳かなぁ?
そう思った時に、もう一度、上の方から声が聞こえた気がします。
カエルくんが、空を見上げると遠くから鳥サンがこちらに向かって飛んできます。
「なんだろう、鳥サンがこちらに飛んでくる」
カエルくんが、目を凝らして良く見ると、鳥サンは足に何かつかんでいるようです。
すると、そこから何かが叫んでいます。
「お~い、カエルくん」
カエルくんが名前を呼ばれて、もう一度よく見て見ると、なんと、鳥サンが足につかんでいるのは、かたつむりクンではないですか!
「あ!かたつむりクンだ、亀さん、かたつむりクンだよ」
亀さんも立ち止まって空を見上げると、鳥サンは、もうそこまで近づいており、足にはかたつむりクンがつかまれて手を振っています。
やがて、鳥サンは亀さんの隣に降りると、かたつむりクンを離しました。
かたつむりクンは、カエルくんの側までくると言いました。
「やぁ、カエルくん、水は持ってこれたかい?」
カエルくんは、水をいっぱい飲んでいるので、あまりうまくは話せません、そこで亀さんが代わりにこれまでの事を説明しました。
かたつむりクンは、それを聞くと言いました。
「そうかぁ、カエルくんも、亀さんも、がんばったね、実は、ボクも途中で鳥サンに出会ったので、訳を話して協力してもらうことになったんだ。
かたつむりクンが、そう言って鳥サンを紹介すると、鳥サンはペコリと頭を下げて挨拶して言いました。
「こんにちは、これまでの事はかたつむりクンに聞いてやってきました、みなさんご苦労さまです、森が火事になったら大変ですものね、私も協力させていただきます」
みんなであいさつをすませると、どうして水を運ぶか話し合いました、とにかく一刻も早く火を消さなければなりません。
そこで、亀さんの背中の甲羅にカエルくんとかたつむりクンが乗って、鳥サンが亀さんをつかんで、みんなをお花畑まで運ぶことになりました。
亀さんの甲羅にカエルくんとかたつむりクンが乗り込むと、鳥サンは亀さんの身体をつかんで空に舞い上がりました。
鳥サンは、つばさを大きく羽ばたかせて、お花畑を目指してグングン飛んで行きます。
まもなく、鳥サンはお花畑につくと、下に降り立ちました。
亀さんの甲羅から、かたつむりクンは降りると、火事の場所にみんなを案内しました。
そこでは、チロチロと小さかった火が、今ではボウボウと大きく燃え上がって火事になっています。
早く消さないと森中が燃えてしまいそうです。
よっこいしょ
カエルくんは、苦しそうに身を起こすと燃え盛る火に向かって水を吐き出しました。
シュワー、シュワー
カエルくんから放された水は勢いよく火に向かうと、次々と火を消して行きます。
カエルくんは、どんどん火を消していきましたが、それでも、まだ火の勢いは強くてなかなか全部を消す事はできません。
そして、とうとうカエルくんの水が尽きてしまいましたが、まだ火が残っている所もあります。
「どうしよう、まだ火が残っているよ」
かたつむりクンが、そうつぶやくと、亀さんもうなづきました。
「うん~、まだ水が足りないね~」
「困った、これでは、また火が大きくなって火事になってしまう」
鳥サンも、どうしていいかわかりません。
「せっかく、がんばったのにな」
カエルくんも肩を落として残念そうにうつむいてしまいました。
そうこうしている内に、かたつむりクンは、思い直したように言いました。
「このまま落ち込んでいても火はまた大きくなってしまう、元気だして火が消えるまでがんばろうよ、ここであきらめたら、これまでの事も無駄になってしまう、もう一度、水を汲みに行こうよ」
カエルくんも顔を上げました。
「そうだね、うん、がんばろうよ、火が消えるまで何度でも水を汲みに行こう!」
「うん、みんなで力を合わせれば何とかできるよ」
亀さんも元気を出してそう言いました。
鳥サンも、みんなに言いました。
「そうだよ、それに今度は私が池とお花畑を飛んで水を運ぶから、ずっと早く運べるはずだよ」
みんなも、そうだと思い、力を合わせて水を運ぶことになりました。
そして、亀さんの甲羅にカエルくんとかたつむりクンが乗り込むと、鳥サンは亀さんをつかむと翼をはためかせて空に舞い上がり、池を目指して飛んで行きました。
今度は、鳥サンに運んでもらうので、すぐに池まで飛んで来ました。
鳥サンが池の側に亀さんを置くと、カエルくんは甲羅から飛び降りて、池に入ると水を身体いっぱいに飲み込み始めました。
かたつむりクンも、亀さんの甲羅から降りると、背中の貝殻の中に水を入れて行くことにしました。
やがて、カエルくんとかたつむりクンが水を汲み終わると、再び亀さんの甲羅に乗って、鳥サンにお花畑まで運んでもらいました。
そして、お花畑に着くと、火事の燃えてる所に向かって水をかけて、火を消していきます。
水が無くなると、また、亀さんの甲羅に乗り込んで、鳥サンに池まで運んで貰い、水を汲むとお花畑に戻り、また火に水をかけて消していきます。
そういう事が3度も行った時に、とうとう火はみんな消えて火事は無事に消化されました。
かたつむりクンが言いました。
「わぁい火事が消えたよ」
カエルくんもうれしそうです。
「本当だ、良かったね」
亀さんも喜んでいます。
「やったぁ~、森が燃えずにすんだね~」
鳥サンもうなづいています。
「うん、みんなががんばったからね」
みんなは、疲れてますが火事が消えて森が無事だったので喜んでいます。
「かたつむりクンが火を見つけてくれたからだよ、それに鳥サンも呼んできてくれたからね」
「カエルくんも、いっぱい水を飲んで火を消してくれたからね」
「亀さんがカエルくんを甲羅にのせて池まで運んでくれたのも助かったよね」
「でも、鳥サンが来てくれなかったら、間に合わなかったよ」
こうして、みんなのおかげで火事は消えました。
でも、かたつむりクン、カエルくん、亀さん、鳥サンの活躍やがんばりは、森の誰も知らないかもしれません。
だけど・・・
みんなのあきらめないがんばりがあったからこそ、無事に森を火事から護る事ができたのです。
かたつむりクン
カエルくん
亀さん
鳥サン
力を合わせて森を護ってくれてありがとうね。
ひとりひとりは、歩みも遅いし力が弱いかも知れなくて、良い知恵も出ないかも知れないけど、みんなで力を合わせて協力したから、がんばれたし、森を護ることができたのだよ。
みんなが努力したから結果がでて良かったけど、なにも努力しないで見逃してたら森は大変なことになってたよ。
これからも、仲良く力を合わせてがんばってね!
おしまい・・・
ここは、ある森のはずれのお花畑です。
今日も元気なかたつむりクンは、トロトロとのんびりお散歩していましたた。
「う~ん、今日も雨は降らないのかな」
しばらくお天気が続いたものですから、森の中が乾燥していまして、葉の雫を飲んだり、木の葉を食べてるかたつむりクンも、ちょっと疲れ気味です。
それでも、かたつむりクンは気を取り直して、のんびりトロトロお散歩していると、少し前の方に、チロチロと何か灯りが見えています。
「おやおや、あれはなんだろう?」
かたつむりクンは、近くによって灯りを見てみたら、とっても驚きました。
なんと!、枯れ木がチロチロと燃えて火がついてるではありませんか。
「これは大変だ!!」
このまま燃え続けると火事になって森の木も草もお花畑も、みんなみんな燃えてしまいます。
「このままだと大変な事になる、何とかしないと」
困ったかたつむりクンは、いっしょうけんめい考えました。
「そうだ、この森には大きな池がある、その池まで行って水を汲んできて、その水でこの火を消そう」
これは森の一大事とばかり、かたつむりクンは、水を汲もうと池を目指して歩き出しました。
しかし、かたつむりクンは歩みが遅いので、いっしょうけんめい急いでみても、なかなか前には進みません。
それでも何とかがんばろうと、かたつむりクンは、草から葉っぱへやっとこしょ、どっこいしょと急いで歩いています。
「早くしないと大火事になる」
かたつむりクンはがんばって急ぎましたが、なかなか池にはつけません。
その時、茂みの中から、ぴょんぴょんとカエルくんが、かたつむりの前に飛び出しました。
「おいおい、かたつむりクン、そんなに急いでどうしたの?」
カエルくんは、かたつむりクンに聞きました。
かたつむりクンは言いました。
「これは、カエルくんこんにちは、実は森のお花畑で枯れ木が燃えてるんだ、早く消さないとと火事になってみんな燃えてしまう、だからこれから池まで行って、水を汲んで消そうと思うんだよ」
カエルくんも驚きました。
「なるほど、それは大事だね、早く消さないと火事になるね」
カエルくんも考えました、かたつむりクンの歩みでは遅くて手遅れになってしまう。
そうだ!ボクの方が速いから代わりにボクが行けばいいんだ。
「ねぇねぇ、かたつむりクン、このままでは手遅れになってしまう、だからボクが代わりに池まで行って水を汲んできたらどうかな?」
「そうか、それは良い考えだ、カエルくんの方がずっと速いからね、ボクも続けてがんばるから、キミは先に行ってくれるかい?」
「うん、引き受けた、それではこれから池まで急いで駈けてくからね」
そういうと、カエルくんはピョンピョン跳ねて池に向かって行きました。
ピョンピョン、ピョンピョン、カエルくんは、いっしょうけんめいがんばって、跳ねて行きましたが、それでもまだまだ池にはつきそうにありません。
カエルくんは、がんばって跳ねつづける内に疲れて来てしまいました。
「はぁはぁ、ぜいぜい、息が切れてきた、困ったなぁ、疲れて跳ねられなくなってきたよ~」
カエルくんは息が切れてしまって、動けなくなってしまいました。
「どうしよう、早く行かないと森が燃えてしまうよ!」
カエルくんが困っていると、のっそりと大きな物が近づいてきました。
のっそり、のっそり。
それは、森の池に住む大きな亀さんでした。
亀さんは、カエルくんに近づくと声をかけました。
「やぁ~、カエルくん~、疲れてるみたいだけどどうしたの~?」
「わぁ亀さん、こんにちは、あのね、森のお花畑が火事なんですよ、それで、池まで水を汲みにいって、何とか火事を消したいのです」
カエルくんは、これまでのいきさつを亀さんに話しました。
「そうか~、それはご苦労さんだね~、そうだ~、それなら私も協力しよう~、池まで一緒に水を汲みに行くよ~」
「ありがとう、ボクは少し疲れてきたので助かるよ」
「がんばって跳ねてきたんだね~、それなら私の背中に乗るといいよ~、池まで運んであげるよ~」
「ほんと、ありがとう」
亀さんは、カエルくんを背中の甲羅に乗せると、のっそり、のっそり歩き始めました。
のっそり、のっそり、亀さんはカエルくんを甲羅に乗せて、池を目指して歩いています、でも、歩みが遅いのでなかなか池には着きません。
それでも、池は亀さんがいつも泳ぎに行っている所です、少しずつですが、亀さんは池に近づいて歩いています。
のっそり、のっそり、えんやこら、えんやこら。
亀さんがしばらく歩いて行きますとようやく池が見えて来ました。
「カエルくん~、ほら池が見えてきたよ~」
「うわぁ、ほんとうだ、ようやく池に着いたよ、亀さんありがとう」
カエルくんは、ピョンと亀さんの甲羅から飛び降りると、亀さんと並んで池に近づいて行きました。
目の前には、この日照りでも、きれいな水をいっぱいにたたえた大きな池があります。
でも、この水をどうして運べばいいのでしょう?
亀さんはカエルくんに聞きました。
「カエルくん~、どうして運ぼうか~」
カエルくんにも、どうしていいかわかりません。
「う~ん、少しなら運べるけど、火事を消すのならたくさんの水がいるからなぁ」
カエルくんは、そこらに何か水を入れる物がないか、辺りをキョロキョロと探して見ましたが何も見つかりません。
はてさて、どうしよう?
カエルくんと亀さんは、二人でいろいろと考えて見ましたが、なかなか良い知恵が浮かびません。
こうしている間にも、火が大きくなって森が燃えてしまうかと、それも心配です。
そうだ!
カエルくんは、ふと、あることを思いつきました。
「ねぇ、亀さん、はやく水を運んで火事を消さないと森が燃えてしまうよ、少しでもいいから水を運びたいの、それで、ボクが身体中いっぱいに水を飲み込むから、亀さんはボクの身体ごとお花畑に運んでください」
「うん、わかったよ~、でもカエルくん大丈夫かい~?」
「大丈夫だよ、ボクの身体はふくらむからね」
そう言うとカエルくんは、池に入ってゴクゴクゴクゴクと思い切り水を飲み込みはじめました。
カエルくんの身体は、水を飲むたびに風船のようにふくらんで、真ん丸になってしまいました。
「うぅ、く、くるしいぃ」
カエルくんは、身体中いっぱいに水を飲んで苦しそうです。
亀さんは、カエルくんの身体を甲羅に乗せると、のっそり、のっそり、歩き始めました。
しかし、もともと亀さんの歩みはゆっくりしてる上に、水をいっぱい飲んだカエルくんを甲羅に乗せてるので、なかなか早くは歩けません。
それでも、亀さんは一生懸命に歩き続けました。
カエルくんも、いっぱいのお水を飲んで苦しいですが、何とか火事を消さないとと我慢しています。
その時、カエルくんは、どこかで呼ぶ声を聞いたような気がしました。
おや、何だろう?
カエルくんは、辺りを見回して見ましたが、何も変わったことはありません。
空耳かなぁ?
そう思った時に、もう一度、上の方から声が聞こえた気がします。
カエルくんが、空を見上げると遠くから鳥サンがこちらに向かって飛んできます。
「なんだろう、鳥サンがこちらに飛んでくる」
カエルくんが、目を凝らして良く見ると、鳥サンは足に何かつかんでいるようです。
すると、そこから何かが叫んでいます。
「お~い、カエルくん」
カエルくんが名前を呼ばれて、もう一度よく見て見ると、なんと、鳥サンが足につかんでいるのは、かたつむりクンではないですか!
「あ!かたつむりクンだ、亀さん、かたつむりクンだよ」
亀さんも立ち止まって空を見上げると、鳥サンは、もうそこまで近づいており、足にはかたつむりクンがつかまれて手を振っています。
やがて、鳥サンは亀さんの隣に降りると、かたつむりクンを離しました。
かたつむりクンは、カエルくんの側までくると言いました。
「やぁ、カエルくん、水は持ってこれたかい?」
カエルくんは、水をいっぱい飲んでいるので、あまりうまくは話せません、そこで亀さんが代わりにこれまでの事を説明しました。
かたつむりクンは、それを聞くと言いました。
「そうかぁ、カエルくんも、亀さんも、がんばったね、実は、ボクも途中で鳥サンに出会ったので、訳を話して協力してもらうことになったんだ。
かたつむりクンが、そう言って鳥サンを紹介すると、鳥サンはペコリと頭を下げて挨拶して言いました。
「こんにちは、これまでの事はかたつむりクンに聞いてやってきました、みなさんご苦労さまです、森が火事になったら大変ですものね、私も協力させていただきます」
みんなであいさつをすませると、どうして水を運ぶか話し合いました、とにかく一刻も早く火を消さなければなりません。
そこで、亀さんの背中の甲羅にカエルくんとかたつむりクンが乗って、鳥サンが亀さんをつかんで、みんなをお花畑まで運ぶことになりました。
亀さんの甲羅にカエルくんとかたつむりクンが乗り込むと、鳥サンは亀さんの身体をつかんで空に舞い上がりました。
鳥サンは、つばさを大きく羽ばたかせて、お花畑を目指してグングン飛んで行きます。
まもなく、鳥サンはお花畑につくと、下に降り立ちました。
亀さんの甲羅から、かたつむりクンは降りると、火事の場所にみんなを案内しました。
そこでは、チロチロと小さかった火が、今ではボウボウと大きく燃え上がって火事になっています。
早く消さないと森中が燃えてしまいそうです。
よっこいしょ
カエルくんは、苦しそうに身を起こすと燃え盛る火に向かって水を吐き出しました。
シュワー、シュワー
カエルくんから放された水は勢いよく火に向かうと、次々と火を消して行きます。
カエルくんは、どんどん火を消していきましたが、それでも、まだ火の勢いは強くてなかなか全部を消す事はできません。
そして、とうとうカエルくんの水が尽きてしまいましたが、まだ火が残っている所もあります。
「どうしよう、まだ火が残っているよ」
かたつむりクンが、そうつぶやくと、亀さんもうなづきました。
「うん~、まだ水が足りないね~」
「困った、これでは、また火が大きくなって火事になってしまう」
鳥サンも、どうしていいかわかりません。
「せっかく、がんばったのにな」
カエルくんも肩を落として残念そうにうつむいてしまいました。
そうこうしている内に、かたつむりクンは、思い直したように言いました。
「このまま落ち込んでいても火はまた大きくなってしまう、元気だして火が消えるまでがんばろうよ、ここであきらめたら、これまでの事も無駄になってしまう、もう一度、水を汲みに行こうよ」
カエルくんも顔を上げました。
「そうだね、うん、がんばろうよ、火が消えるまで何度でも水を汲みに行こう!」
「うん、みんなで力を合わせれば何とかできるよ」
亀さんも元気を出してそう言いました。
鳥サンも、みんなに言いました。
「そうだよ、それに今度は私が池とお花畑を飛んで水を運ぶから、ずっと早く運べるはずだよ」
みんなも、そうだと思い、力を合わせて水を運ぶことになりました。
そして、亀さんの甲羅にカエルくんとかたつむりクンが乗り込むと、鳥サンは亀さんをつかむと翼をはためかせて空に舞い上がり、池を目指して飛んで行きました。
今度は、鳥サンに運んでもらうので、すぐに池まで飛んで来ました。
鳥サンが池の側に亀さんを置くと、カエルくんは甲羅から飛び降りて、池に入ると水を身体いっぱいに飲み込み始めました。
かたつむりクンも、亀さんの甲羅から降りると、背中の貝殻の中に水を入れて行くことにしました。
やがて、カエルくんとかたつむりクンが水を汲み終わると、再び亀さんの甲羅に乗って、鳥サンにお花畑まで運んでもらいました。
そして、お花畑に着くと、火事の燃えてる所に向かって水をかけて、火を消していきます。
水が無くなると、また、亀さんの甲羅に乗り込んで、鳥サンに池まで運んで貰い、水を汲むとお花畑に戻り、また火に水をかけて消していきます。
そういう事が3度も行った時に、とうとう火はみんな消えて火事は無事に消化されました。
かたつむりクンが言いました。
「わぁい火事が消えたよ」
カエルくんもうれしそうです。
「本当だ、良かったね」
亀さんも喜んでいます。
「やったぁ~、森が燃えずにすんだね~」
鳥サンもうなづいています。
「うん、みんなががんばったからね」
みんなは、疲れてますが火事が消えて森が無事だったので喜んでいます。
「かたつむりクンが火を見つけてくれたからだよ、それに鳥サンも呼んできてくれたからね」
「カエルくんも、いっぱい水を飲んで火を消してくれたからね」
「亀さんがカエルくんを甲羅にのせて池まで運んでくれたのも助かったよね」
「でも、鳥サンが来てくれなかったら、間に合わなかったよ」
こうして、みんなのおかげで火事は消えました。
でも、かたつむりクン、カエルくん、亀さん、鳥サンの活躍やがんばりは、森の誰も知らないかもしれません。
だけど・・・
みんなのあきらめないがんばりがあったからこそ、無事に森を火事から護る事ができたのです。
かたつむりクン
カエルくん
亀さん
鳥サン
力を合わせて森を護ってくれてありがとうね。
ひとりひとりは、歩みも遅いし力が弱いかも知れなくて、良い知恵も出ないかも知れないけど、みんなで力を合わせて協力したから、がんばれたし、森を護ることができたのだよ。
みんなが努力したから結果がでて良かったけど、なにも努力しないで見逃してたら森は大変なことになってたよ。
これからも、仲良く力を合わせてがんばってね!
おしまい・・・