蝉の声が聞こえる



松林から蝉の鳴き声が心なしか聞こえる、
未だ梅雨明けもしないうちに小暑。

太陽が燦々と照り付ける海は青々と美しい。
一昨日の涼しさとはうって変わり蒸し暑い。

1分も歩けば夏の海がきらきら光り輝き、
そのすぐ傍にリフォームしているアパートが有る。

暇を見て海辺を歩いてもざざざーっと、
静かな波音を人の声が消してしまう。

この頃思う、産まれ変わりたいと。
何かあると直ぐにくじけてしまう。

何かあると夜も眠れぬほど悩んでしまう。
笑うことを忘れてしまった私。

知らぬ間に弱い人間になってしまい、
しっかりしなければ!自分を叱り続ける日々。

そんな時、アパートのリフォームが始まり
壁紙を貼ったりする主人の仕事を少し手伝う。

主にお掃除や片づけをする事が多い。
その仕事と家事をしている間は集中する為
何も考えずに汗を流し、ぐっすり眠ってしまう。

町内に早くもノウゼンカズラが咲き始めて、気根を出し、
樹木や壁などの他物に付着して蔓(つる)を伸ばす。

花の少ない夏に鮮やかなオレンジ色のノーゼンカズラ。
昨年より早く咲いたのかしら。

そっと近寄れば折れてしまいそうな細い蔓、
日光をいっぱい浴びた蔓は高く伸びていく。

土砂降りの雨にも強風にも折れることなく、
ノーゼンカズラは芯の強い花だと思う。

私の性格は悪い点ばかり多くて良い点が少なく、
自分に嫌悪感を持ち、疲れてしまった。

蝉の声をはっきりと聴けば短い命を精一杯に生き、
その光景を見れば私も精一杯に生きなければと
蝉に教えて貰う。

我が家に帰宅すれば数匹の蝉が倒れていたので驚く。
蝉は3週間から1ヶ月位生きられると言う人も居る。

いままで蝉の命は1週間だと思っていたのは、
間違いだったのだろうか。

夏の夕方に土から出て木に登り脱皮して成虫になる。
蝉の命は1週間と思っていた反面、どうも腑に落ちない。

今頃から8月のお盆まで鳴き声が聞こえていた。
蝉が鳴かぬようになると、もうすぐ秋が近い事を知る。

どちらが本当かは私には解らなくなってきた。
人の心も見極める事が出来ない愚かな私である。