夜の雨


南の島に降る雨は、しとしと静かな春の雨のよう。
夜、夕食の買物と翌朝の食材だけを買う為に出かけた。

今夜の雨は、ざあざあ土砂降りの雨が降るなんて珍しい。
何処へ行っても坂道だから水溜まりも多く靴が濡れていた。

外が暗くなってからの買物は主人、明るい時の買物は私と
決めていた。

何時も何処かで遊んで来ては疲れて眠っている主人、
こんな人を当てにしても仕方がない、買物に出かけた。

本土が寒くなれば南国に吹く風もすうすう肌寒くなり、
半袖から長袖のブラウス、夜はブレザーを着るようになった。

スーパーで静岡産の鮪のお刺身を見た時、「あった!」
嬉しくて思わず懐かしさがこみ上げる。

結局、お刺身を買わずに安い生鯖と牛蒡、人参で金平ごぼうを作った。
深夜、雨がやみベランダで夜景を見ながら、ふと思った。

平凡に生活できる幸せ、大きな病気にならず普通に生きられる幸せ。
雨露しのげる部屋があり、笑顔で暮らせたらそれでいい。