春の雨 
静寂さが漂う曇り空の今朝、6時に目覚めた。
音もなく静かな小雨が降っていた事にも気付かずに、

台所に立って朝食の支度をしていた。やがて其の雨は、
ざあざあと激しく横殴りに降り始めている。

ほこりを被った血潮紅葉を雨が綺麗に洗い流してくれ、
冷やゝかな風にひらひら揺れている。

春の雨は時には薄情な人の心のように、私の胸にトゲを刺す。
たまに見せ掛けだけの優しさを見せても、すぐに豹変してしまう。

春の雨は、気まぐれだと思う。
今日は西日本から低気圧が張り出し、

春にしては冷たい雨が降っている。
この家から抜け出して雨の中を友に会いに行って来た。

本音で話せる友と、心そこ笑いあって土砂降りの雨の中を
辺りの風景を見ながら歩いて帰宅する。

僅かに残っている桜の花が、雨に霞んでぼーっと白く見え、
田園は雨水を含み、草花には恵みの雨になったと思う。