加藤いづみ 04.04.08
 今日もほぼ定時に退社しました。向かった先は草月ホール、生涯2度目の訪問は1度目と同様、加藤いづみのコンサートです。
 全席指定ですので、焦っていく理由はなかったのですが、なぜだか開場時間前に到着してしまいました。1人きりで行っているのでかなり手持ち無沙汰です。当然、開場後も落ち着きません(苦笑)。そのうち、Mさんの姿を発見するのですが、今日は軽く会釈をするのみです。

加藤いづみ“romeo”the acoustic final at 草月ホール
 ほぼ定刻で開演となりましたが、客電は上がったままでした。そんな中、高橋研のギター演奏で歌い始めた歌はネガ続いての曲がこの街が好きだよでした。私が初めて買った加藤いづみのCDがこの曲だったので、なにやら感慨深いものを感じました。ところが、始まったばかりだというのに、高橋研がイキナリ、ギターの弦を切ってしまうというハプニングが発生しました。この弦を張り直す間、加藤いづみがMCで場を繋ぐことになったのですが、内容は高橋研に対する説教に近いものでした(笑)。
 坂道、好きになってよかった、髪を切ってしまおうといった、シングルでも(私の中では)比較的メジャーな曲を歌いました。前後のMCで、この曲に対する想いを語っていたのですが、代表的な曲だっただけにプレッシャーを感じることもあったそうです。その頃のステージをリアルタイムで見ていないため、何とも言えないのですが、今はいい付き合いができているそうです。
 ステージに用意されたピアノに座り、海へ続く道、雨上がりのregretの2曲を歌います。グランドピアノを弾くことにとても緊張していて、2曲とも弾く前に手を組んで天を仰ぎ「神さまぁ」とちょっと頼りなげに祈る姿が会場の笑いを誘います。しかし、演奏も歌もとても素晴らしいものでした。この2曲を終えたところで、加藤いづみは、一旦ステージを中座します。そして、高橋研によるソロステージのコーナーが始まりました。歌った曲は川村かおりのうそつきのロッカーと中村あゆみの翼の折れたエンジェルの2曲。アコギで弾き語る高橋研はかっこよかったです。
 再び加藤いづみがステージに戻ってきて、French Kissや初雪といった少し新し目のナンバーを歌い、ツアータイトルでもあるロメオを歌います。考えてみると、“romeo”と冠しているのに、同名のアルバムの曲を歌うのは初めてでした。
 続いて、ドライヴ、Dear Friendsとアコースティックにはもってこいの2曲を歌って終了となりました。後半の曲ではアコースティックギターと加藤いづみの歌声に客席の手拍子の乾いた音がなんと言えず心地よく響いていました。
 すぐに沸き起こったアンコールの拍手、客席の99.8%は余韻に浸りながらただ、賛辞の拍手を送っていたのですが、最前列に座っていたお客さんが2名、立ち上がって「アンコール」と声を上げていました。アンコールは声を出してしなければならないものではないのですが、そういう機微がわからないようで、何か非常に残念に思いました。
 ナチュラル・ガールでアンコールは始まりました。2曲目からのアンコールは客席からリクエストを募って、歌ってしまうということになっていて、客席からさまざまな曲名が上がります。この2人だからできることで、どんな曲が歌われるのか、楽しみでした。
 選ばれた歌は雨の降る靴、次に歌った空飛ぶカウボーイでは加藤いづみはマイクを置き、高橋研はピックアップなしと、完全なアンプラグドでした。最後はきみのことでしんみりと、やさしく幕を閉じました。
 客電が上がり、場内アナウンスも流れたのですが、客席の拍手は止みませんでした。最前列の方はまたしてもアンコールの声を上げ、手拍子を打っていましたが、他のお客さんは皆、拍手を送りつづけていました。
 拍手の音に応えて、加藤いづみと高橋研がステージに再登場しました。かすかな期待はもちろんありました。しかし、それが現実になると、やはり嬉しさが溢れます。
 「こんな拍手を聞いたら」と顔を綻ばせる加藤いづみ、そして「何歌う?」と問われて「Zeroしかないだろ」と応える高橋研と、それを聞いて沸き立つ客席。それまでじっと座って聞いていたのですが、この時は総立ちになって、Zeroに聞きほれていました。前回のように全員で大合唱ではありませんでしたが、ステージと客席の距離はかぎりなくZeroだったと思います。
 歌い終わり、客席にお礼の言葉を述べる2人に最大の拍手を送りつづけました。この時、「拍手の音って、こんなに温かくて優しいんだ」と心から思いました。

 今度こそ、本当に終演となりましたが、とても幸せな気持ちで帰途につくことができました。