宮原永海 02.06.28
 退社時間はPM6:00でした。新橋を経由してゆりかもめに搭乗、目指す先は台場駅です。
 駅に着いてから、例によって例のごとく、会場の場所を把握していないため少し迷いましたが、目の前に建っている建物の4階に、目的地はありました。
 JIMMY’S EAT BEAT。普段ならば絶対に来ないようなちょっと洒落たカンジのライブスポットで、食事と夜景を楽しみながら音楽に興じるというオトナの空間です。 会社帰りのため、スーツ姿で訪れることになりましたが、ここではその方が似合っているかもしれません。
 席に案内されて、ビールをオーダー。ノドを潤しながら開演を待ちます。日も傾き始め、カーテンごしの景色も朱に染まっていきます。
 PM7:30を迎え、FRIDAY LIVEの開演です。ステージの準備が整うのと時を同じくしてすべてのカーテンがゆっくりと上がっていき、リトルマンハッタンの夜景が姿を現します。

FRIDAY NIGHT LIVEat JIMMY'S EAT BEAT
 まずはimaimasakiのステージでした。ステージはピアノとサックス&フルート奏者の2人というシンプルな構成で、イスに腰掛けたimaimasakiがスローテンポなバラードを歌い上げます。
 imaimasakiという名はもしかすると聞いたことがあったのかもしれません。しかし、歌を聴くのはまったくの初めてでした。店に足を踏み入れたときにあまりに女性客ばかりなので、男性1人の私は場違いな雰囲気にたじろいだのですが、確かにルックスもよいので、ムリもないのですが、歌も私好みのカンジで、1曲目から惹かれていました。
 途中に演奏の2名を交えてのMCも面白く、会場の雰囲気も相まって、およそ1時間、7曲ほどのライブはとても気持ちの良い時間になりました。
 imaimasakiがステージを退き、しばし休憩。会場にいた女性の何割かは席を立ち、いつの間にか増えていた観客は食事に集中し始めて、食器の音や話し声が響きます。私も飲み干してしまったビールをもう1杯注文して、後半のステージに想いを馳せました。

 喧騒というにはいささかおとなしいですが、話し声と食事を楽しむ雰囲気に溢れたホールの中、場内のほとんどは気にもしていない、けれども私にとっては待望の、宮原永海のステージは始まりました。
 宮原永海を初めて知ったのは、昨年12月の赤坂でのライブイベントでした。その時は彼女のことなどまったく知らなかったのですが、そこで聴いた歌に魅了されてしまったのです。その日から今日までの半年間、その歌声に接する機会はありませんでした。もちろん、彼女が声優を務める作品で、そのキャラクターの歌などは出ているようなのですが、私が惚れたのは“singer”としての宮原永海であって、“actress”としての彼女を求めてはいないのです。残念ながら今のところ、彼女のオリジナルソングを耳に出来るのはステージのみなのです。
 1曲目は少しポップな曲調の全詞英語の曲、2曲目はしっとりとしたバラード(聴き覚えがあったので、多分as oneだと思います)。と歌いました。
 1曲目が始まって頃、まだステージに用はないと、テーブルはおしゃべりや食事に興じていた観客も、2曲目が始まる頃にはステージに立つ歌手の存在を無視できなくなっていました。20歳そこそこの無名の女性歌手が、その歌声で存在を示し、興味すら持っていない客を魅了したのです。
 MCでは少し舌ったらずな口調で、自己紹介をしていました。それは歌手としてのもので、それ以外の仕事の一切を語ることはありませんでした。続いて水、dreamingとそれぞれ仮の曲名の、ミディアムテンポなナンバーを歌います。時刻もPM9:00近くなり、帳の下りた中、お酒を愉しみながら聴くにはうってつけです。
 ここでのMCは「少し長めに」と指示されたということなのですが、ザルツブルグに留学していたことに少し触れただけで、今日のピアノ奏者の栗本さんが作ったというReasonを歌いました。その後は短いMCを挟みながら不思議な国、Want I need youという曲が続きます。そして最後に、かみさまという、昨年のニューヨークでのテロに際して、作ったという曲でステージを終わりました。

 会場が食事を愉しむことが優先される場所ということもあり、本人も「食べていていいですよ」と言っていましたが、私の目に映る範囲では食事に興じる人の数は、ステージが進むにつれて減っていき、ステージに目を注ぐ方が増えていきました。
 私のすぐ傍に座っていたグループは、その1人がimaimasakiの演奏クルーの知り合いだったようなのですが、最後にポツリと「このコ、歌うまいよね」と言っていたのが印象的でした。
 静かではない空間で、どちらかといえば静かな曲調の歌を歌い続け、それで客の耳と心を傾かせるにいたった彼女の歌声にはやはり力があるのだろうと思います。ステージについては、宮原永海はもちろんのこと、imaimasakiも含めて、非常に満足できる一夜になりました。
 
 さて、その宮原永海ですが、この9月にCDデビューが決定したそうです。レコード会社はイーストウエストジャパン、体裁はミニアルバムのようです。私の感性と耳を信じられる方にはぜひ手にとってもらいたいと思います。とりあえず、私の中で歌姫ランキング急上昇中です。8・9月に出演するイベントもありますので、興味のある方はお声がけください。お付き合いします。