「溜まり場」
<<インド>>--ヴァラナシ--


此処は人力車の車夫達の溜まり場のようである。

仕事を終えた後や、これから仕事に出ようという男達が、思い思いに休憩時間を楽しんでいる。

テントを張っただけの店では、何か食べ物でも売っているのだろうか。

このみすぼらしい休憩所の背景には、最近の設備を凝らした眩いばかりのビルが聳えている。

貧富の差が著しく激しいのが、インドの実態と言えるであろう。

此処にたむろす彼等には、客をあのビルに運ぶことは有っても、あのビルの中で、過ごす事は決して無いであろう。

しかし彼等はこれが自分の定められた運命であり、それに不満を抱く事は無い様である。

今、インドのカースト制度(階級制度)を廃止しようという機運が高まっているようだが、皮肉な事にそれを推し進めているのは、上流階級の有識者達なのである。