漁場 「トンケシ to-um-kesi 沼・尻・の末」の地に230224
 漁場 「トンケシ to-um-kesi 沼・尻・の末」の地に230224

 「夏小鰊 九百石位」「昆布五千石位」「秋味鮭 四百石位」。
 「東蝦夷地クスリ場所之図」(元冶元年 函館中央図書館蔵) に記載されている事柄だ。
 図は「場所(=漁業経営対象海域)全体の漁業出産高ばかりでなく」。
 「漁場(=漁業操業対象海域) ごとに漁業種目と漁業出産高を記録するなど、画期的」(佐藤宥紹著『釧路の近世絵図集成』 148p)。

 図に注を加えてみた。昆布産地を「黄」、鰊=「赤」で鮭は「黒」。
 釧路川東部の岩石海岸地帯には、さすがに昆布の漁場が広がっている。うなづける点だ。
 他方、釧路川の記載位置は知人 しりと 岬から、幾分、西にかたよりすぎている。

 このため釧路川の東、つまり知人岬よりにニシン漁場があることになっている。
 ニシンやサケの漁場でのちに伝えられてきた地点は、釧路川西部の砂浜海岸の一帯。
 アイヌ語の地名で「トンケシ to-um-kesi 沼・尻・の末」とされる地帯だ。

 この一帯には、二つの時期にわけ青森県八戸市からの入り稼ぎがあった。
 1)に明治40年前後、「小鰊」が爆発的に漁獲できたとき、「旋網漁業」持ち込んだ。
 2)に昭和24、25年時点で、「サバ・サンマが爆発的に獲れた時代」。前浜で漁獲して、水揚げしている。