「言論の自由、表現の自由をがうばわれる」 杉浦有一・井上紀子談「無所属の生き方~素顔の父」
 「言論の自由、表現の自由がうばわれる」.作家・城山三郎は「個人情報保護法」制定によせて、その行方を見守った. 息女にあたる杉浦有一・井上紀子両氏が、「無所属の生き方~素顔の父」で語っている.

 経済小説の領域を提示した城山三郎.愛読者は広い.
 「二十世紀後半の日本を代表する作家の一人」と評価され、「(城山にとって)『昭和』とはどのような意味をもっていたのか、そして作品を通して訴えかけようとしたのは何だったのか」(6p)と、編集者は問うている.

 城山を評して、「形式を嫌って常に真摯に人の心の本質を見つめてきた」(8p)との見解も、達観.
 ひとりの作家を解釈するに、息女両名に「素顔の父」、真山仁『小説 日本銀行』、佐高真<戦争文学>、、平松守彦に『官僚たちの夏』を、読み解かせる構成も異色.

 家庭にあっての城山.
 家族は城山ファンに対して、「人間をおもしろがるところがあり」「とことん人間好き」(20p)と、語る.
 「日本の原点は物づくりにあるとし、『株とか投機とか、そんなのは虚業』だ」(17p)とも語ったという.

 日本も好きで、時代が逆転することを、真に「案じた」、か.
 そういうことでも、あったのか.(NHKETV『知るを楽しむ 私のこだわり人物伝』 日本放送出版協会 2007年8月).