大山眞人著『団地が死んでいく』
 大山眞人著『団地が死んでいく』。「団地が死んでいく」を、二つの側面から説明しています。ひとつは住まいの場である建物が劣化していくことです。それだけでなく、入居者の世代交代があります。

 建物が次第に使えなくなる要因を、建て方そのものが悪い、メンテナンスの対応が悪くて使用可能なのにその期間が短期で終わる、まだ使えるのに入居者を排除して建て替えしてしまう、などです。

 入居者の世代交代。その深刻な点は「孤独死」です。孤独死といい、官庁は「孤立死」という考え方だそうです。
 孤独死は死そのものであり、防ぐことはできないが、発見の期間を短くしたり、場合によっては防ぐこともできると、説明しています。
 近隣の人間関係、プライバシーとは別な関心の寄せあいで、防ぐことも可能なのだと地域での取り組みケースを紹介しています。

 団地。日本の社会で普及して時間がたっていません。いま、たくさんの人をかかえこんだ集団生活の行方が、どのようになるか。考えるのに、たいせつな見方、考え方が、示されています。
 団地をつくり、利用してもらうことだけを考えた計画や開発をすすめた担当者の考えのなかには、「30年さきの将来、そこで『なにが起きるか』を考えていなかった」とも、書いています。

 「サービスを受ける人、サービスを提供してくれる人との接点がいちばん重要」で、「本当に死んでいく」のは「そこに住む高齢者であり」、「作り上げてきた『結=注 ゆい』と『結の想像力』だ」としています。
 堅牢な鉄筋コンクリート製の建物のなかで展開される、地域のなかで人心の『むすびつき』の重要さを、考えさせてくれます。(平凡社新書 2008年)

編集 ペン : 一時は憧れだった団地ですが結局のところ抽選で当たった方々の寄せ集め所帯です。そこで新にコミュニケーションを作り上げていく努力が必要なんだと思います。与えられる事だけを望んでいては発展は無いのかも^^