石澤良昭著『アンコール遺跡 残された歴史のメッセージ』
石澤良昭著『アンコール遺跡 残された歴史のメッセージ』。アンコール・ワット。世界史の教科書で写真に登場し、5ヶ所の尖塔の記憶は鮮やか。

 しかし、それがカンボジアと言う国。クメール人がカンボジア人に受け継がれ、9世紀から15世紀の600年ほどの文化。
 アンコール・トムや247体かの廃仏など、東京都23区にも相当する遺跡群の集積などと書かれると、世界史教育がいかに断片的、記憶しにくいもの、知識としての定着をさまたげてきたかと、思いめぐらす。

 都城・寺院・王宮(10p)。悠久の神話と栄華の物語り(16p)。どんな小さな史実でもその意味と時代背景を考えて(29p)。
 アンコール・ワットは「寺院のある・町=寺院によってつくられた・町」(30p)。
 (設計者)「人間の錯覚や昂る心、心憎いトリックを使い、神への尊崇の気持ちを巧みに計算して崇高な神々の世界へ導く妙手を演出」(44p)・

 江戸時代、本邦から訪問した人のあったことを記載する。「おそらく右近太夫は、ここを『祇園精舎』だと思い込んでいたのではないか」(112p)。

 ともかく本書は、背景にある壮大な世界を目の前に紹介してくれている(『NHK知るを楽しむ この人この世界』 日本放送出版協会 2007年)。
 
 

編集 ペン : 建物の画像だけは覚えていてもその国の背景や歴史は教わらなかったような気がします。歴史は流れが大切だと思います。年号だけ覚える今の授業では歴史嫌いだけが増えてしまうような~^^