若林亜紀著「道路官僚一万人をリストラせよ」
2008年5月、連続休暇の人出シーズン。当時のねじれ国会のなせる経緯のなかで、ガソリン税が道路特定財源からはずされたことがあった。

 そうしたながれのなかで、本稿は記載されている。道路はこれからも、計画通りに着工されないといけないものか。

 筆者は書く。住民の本音は「何でもいいから便利になるのはありがたいけど、電車やバスが便利なのが一番」。自治体は「金がまわってこないのは困る」、政治家の本音は「献金がまわってこないのは困る」、役所の本音は「ガソリン税の使い道がなくなるのは困る」。(200p)

 道路に対する将来の「利用予測データが、きわめてずさん」「計画通りの実績とは程遠い」。同じことは、空港建設でもみられ、港湾建設にも波及することであろう。

 記載はないが、「雇用維持」という名の土建業者の保護というのも、否定できまい。 読んでいて気がついた。ジャーナリストといえでも情報収集に役所はかたくなにも門を閉ざしている。議員の肩書がないと、政府も公共団体も情報開示に背を向け続けるのか。筆者の努力と壁に思いをはせた。(『文藝春秋』 2008.07)