「天から役割なしに降ろされた・・・・・」 ピーター・バラカンが出会った「アイヌ文化復興に取り組む若者たち」220531
地域の食堂の窓ガラス。むしろ無造作に書きしるされた一点の掲示があった。
片仮名表記のアイヌ語で「カント オㇿワ ヤク サㇰ ノ アランケㇷ゚ シネㇷ゚ カ イサㇺ」。
若き女性が、アイヌ民族文化の継承を思いいたる契機とした掲示で、「天から役割なしに降ろされた物はひとつもない」と訳された。
そのように番組内容をメモしてある。

ネットでの紹介は、若干、異なっていた。
「天から役目なしに降ろされた物はひとつもない」とあって、番組の「役割」は「役目」と受け止められている。
NHKBS1番組「バラカンが見たアイヌ新世代」。本年4月に放送があって、その後、再放送。5月31日午後、再々放送を見たことになる。

「摩耶さん母子」、それに母方の母堂が出演。ご母堂は「麻木さん」を名乗り、樹皮衣の織り込み姿を見せてくれた。
「別世界で生きてみたい」。摩耶さんは高校を終えたあたりで、コタンを離れた。
離れてみたところであったか、食堂の窓に記載のあった「カント オㇿワ ヤク サㇰ ノ アランケㇷ゚ シネㇷ゚ カ イサㇺ」に接する。

接したのちに、民族文化の奥の深さに気がついて、帰郷する。そうした展開であったと視聴した。
「天から役割なしに降ろされた・・・・・」。前近代、近代を通じて大和民族はアイヌ民族社会に経済的のみならず、経済外的にも従属を強要した。
「アイヌ民族の『種の保存』が危ぶまれる」。識者はそう警告した。そのとき、アイヌ民族は様々な局面で、「天から役割なしに降ろされた物はひとつもない」と、耐えていたものか。

最後に貝澤 雪子(かいざわ ゆきこ)さんのコメントが紹介されたと思う。
「モノであっても人格がある」。その言葉が重い。前近代、近代。そして現代においてなお「経済的のみならず、経済外的にも従属」の気風が残される。
そのように思うからだ。

「天から役割なしに降ろされた・・・・・」 ピーター・バラカンが出会った「アイヌ文化復興に取り組む若者たち」220531