要人表敬、安全・繁盛祈祷、物故追悼 蝦夷地寺院の持場所廻勤
 要人表敬、安全・繁盛祈祷、物故追悼 蝦夷地寺院の持場所廻勤200912。



 徳川家が設置した蝦夷地寺院。地域で展開、その法務の実態を明確にしている。

 使僧が年に一度、「廻勤 かいきん」と言う名の<持場所巡回>。住職はその任期中、一度各地を巡り法務を執行。

 A.国泰寺僧侶・松堂は訪問先に土産品を取り出す=国泰寺維持の要人を表敬訪問
 B.士族・商人を問わず本州側出張者の堅固、アイヌ民族の無事も祈る=今、生活している人の健康・無事を祈る
 C.過去の物故者と漁業経営のため犠牲となった万物の供養=先亡霊追福
 D.病死者の息子が墓前で誦経を要請=勤務、出稼ぎ者の求めで臨時法務。

 時代は移り天保9年5月。
 「子モロシペツ巳之助ゟ親父於クナシリ島/蝦夷乱之節横死。當五月八日五拾年ニ付回向願来ル」。
 親子して本州から蝦夷地出稼ぎ。時は50年流れるも、没した地での墓前、追善供養。

 辺境の地に本州並みの宗教政策を展開する意味の一輪を示す。