メモ。プラス一夜「ごんぎつね」「赤い蝋燭と人魚」など
千一夜
千夜の千年相聞
一夜はプラスアルファ∞
たとえば「女鬼」
たとえば新美南吉「ごんぎつね」
たとえば小川未明「赤い蝋燭と人魚」など…

「ある秋のことでした。二、三日雨がふり続いたその間、ごんは、外へも出られなくて、あなの中にしゃがんでいました。
 雨が上がると、ほっとしてあなからはい出ました。空はからっと晴れていて、もずの声がキンキンひびいていました。
 ごんは、村の小川のつつみまで出てきました。辺りのすすきのほには、まだ雨のしずくが光っていました。川には、いつもは水が少ないのですが、三日もの雨で、水がどっとましていました。ただのときは水につかることのない、川べりのすすきやはぎのかぶが、黄色くにごった水に横だおしになって、もまれています。ごんは、川下の方へとぬかるみ道を歩いていきました…」

「あるところに大きな町がありました。町ではいろいろな人が集まり、また去っていきました。
日々うつろいゆくこの町でしたが片隅には年寄りの夫婦が住んでいました。町は変わって行きますが二人は何十年と変わらず毎日を町の影に隠れてひっそりと過ごしていました。夫婦はお互い大変仲良く暮らしておりましたけれど、ただ一つ困ったことには二人には子供がおりませんでした。
若いころはどうにか子供が出来ないものかとがんばったものですが、近ごろは年がいったせいもあり二人とももう諦めて、ただ二人で仲良く過ごすことだけを幸せとして毎日を過ごしておりました…」