エッジ上下巻★★★★
鈴木光司著/角川書店刊
小説を読んでいるというより長いシノプシスを読まされている印象が残った。一気呵成になだれこむのかと思っていた後半が「尻すぼみ」。鈴木は尻すぼみではなく広げ深めたつもりなのだろうが、物語の濃淡がもどかしいままに収束。得体のしれない不安を醸し出しておきながら、もったいないことだ。気になったのが造本。途中引用される父親の手帳の書体が読みづらく難儀した。数十ページに渡る長い引用に隷書体はないだろう。