村上さん、花泉辛口です。乾杯
村上さんの声を聴きながら残っていた花泉辛口を献杯しました。


はじめて村上さんにお目にかかったのは大雪の柳津の川べりだった。
怖い人だと聞かされていたけど、
握手した瞬間にひとなつこそうな笑顔をくれた。
彼と最後に会ったのは、聾学校に忍くんを訪ねた帰りだった。
ぜひ飲みましょうと別れて、5年も経っていた。

県知事への2回目の試写が成功した夜、
ケヤキのところでタバコを吸っていたら、彼がやってきた。
まっすぐ顔を見て両目に大粒の涙を浮かべ
ありがとうごさいました、と最敬礼された。
こぼれるような笑顔と大粒の涙。含羞と頑固と。

果たしていないいくつもの約束をむじなの森に残したまま
気がつけば、七年の歳月が過ぎた。

何かを成したら喜んでくれるはずの人がひとりいなくなった夜
こんどこそ白河を越えようと、あてもなく思った。


告別式には渡辺を行かせます。
村上さん、いろいろありがとうございました。
乾杯。

    東京、未明に小雪 11.28 T.M