会津行
15日、16日と南会津へ。スポンサーのいない、湯治部独自の仕事、いや遊びとして。2002年夏の吐竜の滝行以来の試み。前日までの天気予報は15日が70%、16日は60%の降雨確率だった。行き先をHD900のテスト撮影をおこなった南会津に決めた以外は、何のあてもなかった。ただ、行くこと、行って今とは異なる空気を吸い、風景に触れること。そして温泉に入ること。それだけをテーマとした。天は、しかし笑うものなのである。な。

ある日 ふと手を止めて空を見あげる
真っ青な空に白い雲が浮かんでいる
雲は姿を変えながら
連なる山のかなたへと流れている
足もとには たんぽぽの綿帽子がそよいでいる
さわりと風が吹くと
綿帽子は身をよじり 真っ青な空に旅立つ 
たとえば それがすべてのはじまりだ
飢えを満たし 日々を潤すためだけにある
幾千もの夜と幾万もの昼の
果てしない繰り返しの どこかで
ある日 人はふと空を見上げて想うことになる

もしかしたらどこかに
はるかかなたの異境の地に
異なる時間の流れる場所に
いまあるすべてのこと以外にも
心踊らせ浮き立つような 何かがあるかもしれない…

そして人はある日
かりたてられる想いにその身をあずけ
はるかかなたへの一歩を踏みだす
ここではないどこかへ、と。