湯治部へのメール4.23から
年越しで続いていた仕事が
20日にすべて終わった。
リセットしようと
潮の匂いと新緑をもとめて
知人と二人、修禅寺経由で西伊豆に行ってみた。
断崖絶壁の隠れ宿で温泉につかりながら
駿河湾の荒波を雨に濡れながら眺め
布団にはいって死んだように熟睡。
翌日、がら空きの海沿いに
石廊崎の手前まで行き潮風を堪能したあと、
ふと天城越えがしたくなり大戻り。
天城の九十九折り、浄蓮の滝を経て
雨の天城旧道に入った。
小型車一台がぎりぎりの山道は
苔と羊歯で覆われた古木の黒い幹と
萌えだした若葉でむせるよう濃密さ。
対向車がきたら終わりだなと危惧しながら
時速20kmくらいで旧道の初夏をなぞる。。
旧天城トンネルにたどり着いたときは
雨のせいと新緑のせいで薄闇。
その薄闇に開けられた暗渠のような隧道は
天井から滴り落ちる水で濡れた路面が
裸電球に黒く浮かび上がり、
魔界の入り口のようだった。
トンネル内には水滴が落ちる音と
野犬のうなり声のよな音が増幅して響いていた。
息をつめてトンネルを脱けたとき
ああ、これでとりあえずリセットできたな、
そんなふうに思えた。
石川さゆりの「天城越え」をipodで聴きながら
これはブルースなんだなと、思った。