あばたとえくぼ、と。
なんでもない時間が過ぎていったようにも思う。なぜ、その一瞬が刺さったのか、いまだに不明のまま。コトバを発してしまうと取り返しがつかないことになる、という抑制がめずらしく働いた。呑み込んだ。できるだけ早く、その場を脱出しようと思った。帰り道、振り返りながら、なぜそういう反応が起きたのかを確かめようとしたが、不快感だけが募った。どこかで、もうムリだな、と告げる自分がいる。時間を、投げ出したいと思う自分がいる。こういう瞬間が訪れようと思い描いたことがまったくなかっただけに、自分でも驚いている。この気分を、たぶんごまかしていくことは難しい、とため息が止まらない。ひさしぶりに濃密な時間を持てたと、いうのにな。冷水をぶっかけ。さらにその中に雪隠詰めになった気分。自分でも信じがたい、温度低下。あばたがあばたのままで横たわる。
ぐっすり眠って、このざらついた気分が解消していることを願ってはいるが…