この時間にかけて
消えてしまいたくなる。あれもこれも、もういいや、という気分になるのはなぜだろう。眠りたい。眠れない。古河で乗った宇都宮線の車内には、おれと渡辺のほかに離れた席に中年の女が一人だけだった。窓の外の関東平野の闇を眺めているうちに眠り込んでいた。上のの手前で渡辺に起こされたとき、もうろうとしながら、このまま鹿児島辺りまで眠っていたいと、わけのわからない気分におそわれた。帰るための場所の話しをつくりながら、自分はほんとうはどこに帰りたいのか、帰りたくないのか、途方に暮れている。マンガにすらならない。情熱は、どうやって消えていってしまうのか。すくってもすくってもこぼれてしまうことを、とどめることはもうできないのか。ほんとに飽きちゃった。と、あっけらかんと呟ける自分がいる。やばいと思いたいけど、そう感じることができない。時間のせいだと、思いたいけど。