2005 12/27 02:20
Category : 日記
何が起きたのか、一瞬、わからなかった。もしかしたら死んだのかな、とわけのわからない思いも過った。死んだと自分で意識するのもおかしなものだ、と思ったときに顔の右にYの頭が突っ込んできて「カントクダイジョウブデスカ!」と必死の形相で繰り返していた。そして頭の上の方から、ましさぁんといういくつもの声も聴こえてきた。ああ、おれは倒れているのだなと思った。それから誰かが雪が雪が、と叫んでいるのがわかった。Yが引きずり出そうとして引揚げてくれたときに防寒長靴の右が脚から離れていくのがわかった。屋根の雪が落ちて、その下敷きになったことをやっと理解できた。後ろにIがいたことを思い出し、姿を探した。崩れた雪に埋もれ影もカタチも見えず。自分たちがいたベースがあとかたもなく雪に押しつぶされていた。42inchPDPが乗った頑丈そうだったテーブルの脚の片側が折れ、残った方の陰になって助かったらしいことがわかった。Yが飛び込んできてくれなければどうなっていたのか。あらためてふり返り、肝が冷えた。館岩に行ったら、戻れないかもしれないと、つい数日前に書いたことを思い出した。吹雪続きの南会津にぽつんとあらわれた一日だけの冬晴れの午後の出来事。25日。館岩村のクリスマス。村は3メートル近い豪雪におおわれていた。
あのまま、終わってもよかったな、東京に戻ったときの最初の感想だった。そうすれば、もしかしたら悔いのないままに終われたのではないか。と。
エレベーターに乗って4階のボタンを押し
ドアが閉じた瞬間に鼻の奥が痛くなって視界がぼやけた。
泣きながら家に帰るわけにも行かないな、と
また1階に降りた。
ロビーでタバコを一本灰にする間、涙が止まらなかった。
会津に引き返し、冬の続きを撮らなくては、と
わけのわからない思いにかられていた。
なんとか気を鎮め、エレベーターに乗った。
風呂に湯をはり、柚子を放り込んでつかっているうちに
少しずつこわばりが溶けていった。
四日間の会津ロケ。成功。
われながら奇蹟のような四日間だった。
あれ以上の冬を、おれは生涯撮ることはないだろう。
目を閉じると、
まだ吹雪が続いている。
あのまま、終わってもよかったな、東京に戻ったときの最初の感想だった。そうすれば、もしかしたら悔いのないままに終われたのではないか。と。
エレベーターに乗って4階のボタンを押し
ドアが閉じた瞬間に鼻の奥が痛くなって視界がぼやけた。
泣きながら家に帰るわけにも行かないな、と
また1階に降りた。
ロビーでタバコを一本灰にする間、涙が止まらなかった。
会津に引き返し、冬の続きを撮らなくては、と
わけのわからない思いにかられていた。
なんとか気を鎮め、エレベーターに乗った。
風呂に湯をはり、柚子を放り込んでつかっているうちに
少しずつこわばりが溶けていった。
四日間の会津ロケ。成功。
われながら奇蹟のような四日間だった。
あれ以上の冬を、おれは生涯撮ることはないだろう。
目を閉じると、
まだ吹雪が続いている。