> 心はいつも隣にいます
いいところで降雨中止。コールドゲームとなった。一年目にしてはじめて出演者たちとまとまった話ができた。思いがけない演技を見ながら、ああ、もっとはやく彼らと時間をとるべきだった、と後悔。臭みのないじつに軽やかな表現ぶりに、鼻の奥がつんとなった。D2Tとこのまま続けていても、こういう結果をえることは多分ないだろうと、あらためて痛感。本質的な効率第一主義は破産しか産まない。巨大化した生物は、すべて見にくい細部によってしか成立しえない。個人の力技で、その縛めを突破するには、彼らでは才能に限界があり過ぎる。そういうことが半日のなかであらわになっていった。反比例するようにスタッフとキャストのレスポンスの良さが浮き彫りになっていく。後ろしか見ていない輩と、前だけを見ている者たち。これはほとんど別世界の、異なる次元の話しである。歩み寄ろうとする意味も意義もない。そういうことが薄皮をはがすように徐々に明らかになっていった。このことにもう拘泥することはないのではないか。食後に、シャワーを浴び、ロビーに降りて、NaとWaとレストランに戻って話しているうちに、さらに明確になっていった。部屋に戻り、パワーブックに入れてあったあかりやさん提供のベサメムーチョコレクションから7曲選びリピート。窓の外からはかんだかいほどの虫の声。秋のはじまりにまことにふさわしい曲想である。窓を開け放ち、タバコを5本灰にした。それからおよそ1時間。至福。というべきだろう。どうしてそれが今夜だったのかわからないが、到達したのだ。発見は、ある日ふいにやってくる。ユリイカ!

古河。無情の、そして再生の雨。明日は、起きずに寝坊する。