2005 08/11 04:56
Category : 日記
二日前の六本木地下。スタジオのエアコンが効き過ぎていたからか、iTunesのプレイリストを眺めているうちに、森田童子のフォルダーが目に入った。何のきもなしに、かけてみる。目の前の三台のモニターにはサステナブルmovieがたんたんと進んでいる。ぼくたちの失敗を聴き、G線上のひとり、と続いた。その瞬間、猛烈な勢いでフラッシュバック。青き夜は、にいたって堰が切れた。誰が弾くギターなのか、バイオリンなのか、ピアノなのか。誰のアレンジした曲想なのか知らぬが、なんという曲を書くのだろう森田は、と半ば腹立ちながら。気づいたらワタナベがティッシュの箱をよこした。鼻水をふきながら、そういやこんなことがあったな、と苦笑。オフィスのティッシュを使い切り、トイレットぺーバーを使い、ごみ箱では収まりきらなくなったティッシュを入れるためにワタナベは東京都のゴミ袋を広げてくれた。へんてつもない灰色の東京を眺めながらただ座って途方に暮れていたのだ。手にしてからの出来事だった。数ヶ月。うまくいったことになぜあんな混乱を来したのか、いまだに不明のままだ。ただ、いつか淡くなってあたりまえになって薄まっていった。そのことに驚けなくなっていった。いくつもある出来事のひとつにすぎないと、思うようになっていた…
そうじゃねえんだよ。そんなわけにやいかねえんだよ。
6人もの他人が狭いハコのなかで仕事しているのに、止まらなくなった。一時間もしてやっと鎮まってはいったが、のぞきみた風景はそのままだった。ふくらんだかと思うとそのままあふれて涙がこぼれおちる。顔はゆがまず、表情は微動だにしない。彫像のような姿勢のままで透明に泣くのだ。声は出ない。ただ透明な時間があふれ次から次へとこぼれる涙とともに過ぎていく。おれはひとがあんなふうに泣くのをはじめて見た。どう対処すればいいのかわからなかった。たぶんいまでも同じ。なすすべもない。見守っているうちに、いっしょに泣いてやるしかなくなる。いつもそうだった。夏も秋も冬も春もそうだった。死んでやればいいのか、といつも思った。去るのではなく、この世から存在と気配を消してやれば、いつか笑える時間もくるだろうと、そんなことばかり考えていた。気がつけばどんな思いも夢のようにおぼろになってしまう。そんなものだ、というさめた自分が顔を出し、遠くの空を眺めてしまう。ここではないどこかへ、などと気楽な豚になる。♪美しき明日についても語れず…すべてが終わるこの夜に…この暗き部屋の窓から街の灯はまばゆく自由が見える…ラストワルツより
ことのはじまりにこんな歌ばかり聴いていたのはなぜなのか。
夜霧のブルース、月の砂漠…。
ああ、加藤賢明は、いまどこで生きているのか。
話したいことが山ほどたまっているのに、見つけられない。
突破すべき人生など、青山など、どこにもありゃしねえよ。
2時間したら、羽田。山口へ。そのまま帰らず下関に寄り、春帆楼にでも行って三世世界の夢でも見てくるか。
そうじゃねえんだよ。そんなわけにやいかねえんだよ。
6人もの他人が狭いハコのなかで仕事しているのに、止まらなくなった。一時間もしてやっと鎮まってはいったが、のぞきみた風景はそのままだった。ふくらんだかと思うとそのままあふれて涙がこぼれおちる。顔はゆがまず、表情は微動だにしない。彫像のような姿勢のままで透明に泣くのだ。声は出ない。ただ透明な時間があふれ次から次へとこぼれる涙とともに過ぎていく。おれはひとがあんなふうに泣くのをはじめて見た。どう対処すればいいのかわからなかった。たぶんいまでも同じ。なすすべもない。見守っているうちに、いっしょに泣いてやるしかなくなる。いつもそうだった。夏も秋も冬も春もそうだった。死んでやればいいのか、といつも思った。去るのではなく、この世から存在と気配を消してやれば、いつか笑える時間もくるだろうと、そんなことばかり考えていた。気がつけばどんな思いも夢のようにおぼろになってしまう。そんなものだ、というさめた自分が顔を出し、遠くの空を眺めてしまう。ここではないどこかへ、などと気楽な豚になる。♪美しき明日についても語れず…すべてが終わるこの夜に…この暗き部屋の窓から街の灯はまばゆく自由が見える…ラストワルツより
ことのはじまりにこんな歌ばかり聴いていたのはなぜなのか。
夜霧のブルース、月の砂漠…。
ああ、加藤賢明は、いまどこで生きているのか。
話したいことが山ほどたまっているのに、見つけられない。
突破すべき人生など、青山など、どこにもありゃしねえよ。
2時間したら、羽田。山口へ。そのまま帰らず下関に寄り、春帆楼にでも行って三世世界の夢でも見てくるか。