十六夜のためらい
奄美土産の黒糖焼酎の水割り片手に灯を消したベッドに寝ころんで窓を全開にしカーテンを取っ払ってビルの間に昇った十六夜を眺めた。この部屋に越して5年近く経つがベッドに寝ころんで月が見えることをはじめて知った。ガキの頃、座敷に吊った蚊帳の中に近くでつかまえた蛍を放し、祖母と二人で月を見た記憶がある。団子があったかどうかは覚えていない。那須の片田舎の夏だった。いざよいは、古語で「ためらい」の意があるとか。ズバリすぎて、なんだかバカらしくなってきた。月見て晴れる程度の憂さだったのか。旅にいきてえなあ。