死刑判決★★★★★
スコット・トゥロー著/講談社文庫/上下巻

トゥローの法定ものシリーズ中、ピカイチ。
800ページ近いストーリーを一気に読まされた。

四人の主要な登場人物が織りなすドラマは
メインストリームの法廷闘争を離れても
十分に読みごたえあり。
ここまで深いと、謎解きより
そっちの興味が強くなる。
コクのあるいい小説だった。

原題はreversible errors。
法律用語で“破棄事由となる誤り”
訳者の意訳では“取り返しのつく間違い”。
ま、たしかにこのタイトルでは
ストーリーのかなり早い段階で行き先が見えてしまう
ということはあるだろうが、
だからといって読み手の興が削がれるというほどではない。
いずれにしても“死刑判決”はないのではないか。