バックアップ
東京星菫派敬白。2004.2.29

ある日
ふと手を止めて空を見あげる

真っ青な空に白い雲が浮かんでいる
雲は姿を変えながら
連なる山のかなたへと流れている

足もとには
たんぽぽの綿帽子がそよいでいる
さわりと風が吹くと
綿帽子は身をよじり
ふわりと真っ青な空に旅立つ

たとえば
それがすべてのはじまりだ

飢えを満たし
日々を潤すためだけにある
幾千もの夜と幾万もの昼の
果てしない繰り返しの
どこかである日
人はふと空を見上げて想うことになる

もしかしたらどこかに
はるかかなたの異境の地に
異なる時間の流れる場所に

いまあるすべてのこと以外にも
心踊らせ浮き立つような
何かがあるかもしれない…

そして人はある日
かりたてられる想いにその身をあずけ
はるかかなたへの一歩を踏みだす

ここではないどこかへ、と。

このある日とは
2001年7月6日

場所は
福島県むじなの森

時刻は

森の上に巨大な虹のかかった夕暮れ


…ま、そういうことだ。