宝島「このミス」ベスト6を慌ててメール
今年は、迷った。特に国内。

●「今年のベスト6」(国内)

   書名/著者名/出版社名

   1.終戦のローレライ 福井晴敏 講談社
   2.サウンド・トラック 古川日出男 集英社
   3.ワイルド・ソウル 垣根涼介 幻冬舎
   4.非国民 森巣博 幻冬舎
   5.僕のなかで壊れていない部分 白石一文 光文社
   6.ららら科學の子 矢作俊彦 文芸春秋


しびれるような感覚を持続しながら日本の小説を読まされた一年だった。
バブルが遺したものは、人の想像力はどこまでも行けるのだ、
という想いだけなのかもしれない。
番外に北方謙三の「水滸伝」、紀和鏡「夢熊野」、石黒耀「死都日本」、水村美苗
「本格小説」を挙げておきたい。とりわけ本格小説は十年に一冊の「大ミステリー」。
行き着くところまで行ったら、謎が残るのは愛だけだから、ね。




●「今年のベスト6」(海外)

   書名/著者名/出版社名

   1.サイレント・ゲーム R.N.パタースン 新潮社
   2.ドリームキャッチャー S.キング 新潮社
   3.深夜のベルボーイ J.トンプソン  扶桑社
   4.鉤 D.E.ウエストレイク 文芸春秋
   5.ギャングスター L.カルカデラ 新潮社
   6.王者のゲーム N.デミル 講談社


成長することを拒んでしまった成長小説。サイレント・ゲーム、ドリームキャッチャー
の濃密さと斬新さがここにある。世界が留まるとき、人の想いもまた留まる。
西洋的深さと限界がせつせつと綴られていくことの出口のない快感。
番外に金庸の「鹿鼎記」。武侠シリーズラストとなったが、ここ数年、
落ち込んだときのビタミン剤であり続けてくれた金庸先生に敬意を表したい。