am3:30-pm11;00リニアロケ3回目は19.5時間
30日の夜は6時から9時まで新宿で打合せをし、中央高速に。
談合坂SAで磯部焼と金つばを1パックずつ。
渡辺と餅を1.5個ずつ分け、金つばは1個ずつ。
移動しながら咽に詰まらせないように食べた。
ホテルに着いたのが11時30分。
何本か電話し、ベッドにはいるが眠れず。
結局、2時間ほど仮眠してモーニングコール。
冷え込んでいたのでシャワーはあきらめ、着込む。
真冬のロケ支度。ホッカイロを腹と腰に4個仕込み、外へ。
午前4時。満天の星空。吐く息が白い。
ホテルの駐車場に総勢三十人余りのスタッフ。
闇の底の基地へ。

基地の裏にある駐車場で制作部が仕入れてきた朝食。
山腹班と走路班の二班に分かれ、暁闇の中、セッティング。

6時にセッティング完了。40分に出庫するリニアを待つ。メインカメラのレンズの曇りが取れない。
冷え込みのせいか、ぬぐってもぬぐっても片側が雲る。
肉眼ではストレートに見えているが、カメラを通すとまるで深い霧が出ているようだ。焦る。
焦っている間に、リニア始動。雲りをとりきれないままにREC開始。
反対側を狙っているBカメはクリアな映像が撮れていた。
一発勝負なので、撤収。いったんホテルに戻る。
ホテルで1時間休息を兼ね、午後からの連絡態勢をチェック。

センターへ向かう。屋上班とクレーン班に別れ現場へ。
カメラセッティングし、午前中の走行シーンを2ポジションで撮影。

昼食を挟み、薄暮撮影の準備にかかる。
3時に照明班到着。ナイトシーンの準備に基地に向かう。
4時からキャメラを上げる。約31m地点。
5時30分まで変化していく走路をさまざまに撮影。
さらに日没後1時間、ナイトシーンも収録。

撤収後、即基地に移動。
早朝と同じポジションにカメラセット。
あわただしくライトテストをした後、山腹と走路で
実験を終えて帰ってくるリニアを待つ。空には三日月。
夕食抜きで、缶コーヒーで暖を取りながらの待機。
9時少し前、無線が入る。ライトオン。
闇に沈んでいた周囲が浮かび上がる。
3D効果、予想以上にスゴイ。夜の力は偉大である。
いや照明の力と言うべきか。

トンネルからリニアが牽引されてくる。
黄色い牽引車の後にほの白いリニアの車体が見えた瞬間、勝った、と思った。
背筋が寒くなるような、インパクト。

こいつを800インチに映したら…

OKを出し、空を見上げた。
星とやや太めの三日月。その他は漆黒の闇。
プロデューサー、キャメラマンと興奮をさましながら
撤収をはじめた何人かに声をかけた。
気がついたら車の中で眠っていた。
撮影終了から1時間経っていた。

ミーティングをするから
スタッフに話をしてほしいとJR東海の北森氏。
半ば眠りながら車から降り、基地裏の空き地に。
月明かりの下で30人余りのスタッフが輪を作っていた。
北森さんの短い挨拶の後、うながされ、話をした。
何を話したかうろ覚えだが、18時間に渡る撮影がぶじに行ったことと
ラストカットの素晴らしさについて寝言交じりで話したのだと思う。
それと越すべきハードルが、これでさらに高くなった、ということも。

真っ先に輪を離れ、基地を後にした。
第1回ロケの初日の夜、基地を出てすぐのあたりで
車に引かれた猫の死体を見たが、夕べもまた猫が死んでいた。
街灯も人家の明かりもまったくない山道の中を
月夜と猫の死体とスタッフ達と眠りについたリニアを後に
ひたすら東京を目指した。

談合坂に寄って晩飯をとるつもりが、行きすぎてしまい、次のSAに入ったときは日付が変わっていた。
渡辺と二人、たったままで熱いそばを腹に流し込む。

10分ほど走ったところで、渡辺がSOS。
パーキングに停めて、短い仮眠をとった。

早朝6時40分から夜9時までの連続走行試験を撮る
リニアロケ、3回目は、こうして過ぎた。