中華街の連れしょん
郵船博物館の打ち上げがトータルメディア主催で横浜の中華街で。出席。五十人近い人がいたが大半は初顔合わせ。
一年でやりとげたことの苦労話など盛りだくさんで、たのしい夜になった。
最後の一ヶ月が文字通り修羅場だったにもかかわらず、みんなとてもいい顔をしていた。
オープンして3週間。われわれがもくろんだ新しい港の博物館は、すでに静かに横浜の町に定着しつつあるようだ。
スクラップアンドビルドの東京にはぜったいに存在しない街の風景の一角に、我が博物館はしっかり溶け込んでくれている。

高橋さんも石塚さんも肩の荷の下りたまことにおだやかで満ち足りた顔をしていた。
そして我が畏友・穴澤氏も、しみいるような笑顔だった。
げっそりとやつれていた面々が、みんな生き返っていた。

終わり近くにトイレへ。
3つ並んだ小便器の真ん中に立った。
小間あって左に高橋さん。続いて右隣に穴澤さんが。
打ち上げのそろい踏みは連れしょんとなる。
この人たちとあの夏の盛りに思いをぶつけあい、行ける所まで行こうと誓い合ったことを思い出しながら談笑。
間が抜けた構図ではあるが、悪くなかった。

昼の八重洲での沈黙に満ちた不毛な時間が溶けていった。
中華街に着くまで、いや、宴の途中まで、澱のようにたまった不快感に埋もれながら、打ち上げに集中しきれなかったが、メンバーひとりひとりの挨拶を聴いているうちに溶けた。


やめるか続けるか。
組んでいけるか否か。
組むことで高まる思いはもてるのかどうか。
昼のことへの答えはまだ出ないが、夕暮れに襲われた徒労感と疎外感はいくらか払拭できたようだ。


おたがいのこんな瞬間を見ることができるから…
というわけではないのだが、今夜はそんな気分が強かった。