よまいごと
手のひら返すと言うが、今日の昼過ぎ、そいつを体験。
陰に回ればあしざまに悪口雑言いうその口で
ああも鮮やかに寝返られると
サラリーマンというものは大したものだなと利いた風なことを呟いてみる他にない。

女衒。牛太郎。広告や。

あれで女房も娘もいるのだから、世の中はうまくできている。

台風の余波だかで、今夜の首都は物狂おしい。
夜中に外を歩いているとわけもなく目に入るものすべてが気に障る。

疲れ果てて眠りこんでしまった渡辺をオフィスまで行っておこし、はっぱをかけた。
拍手喝采を受けたのだから、指噛み切ってでも仕上げろと空気をいれた。
いま栄養剤を一気飲みして、後ろでパワーブックに向かっている。あと一歩。いやあと半歩。

こういう時間を女衒は知らない。
だから女衒だ。
おれはその女衒に仕事をもらっている。
だから遊女。
いや男だから遊次郎。

ひとつだけ気になっていたこと。
みんなが陰に回ってあしざまに言うその人は
ブレている自分自身に苛立っているようにみえる瞬間がある。
その瞬間に、おれはよわい。
ひけてしまう。

おれ自身のぶれが共鳴をおこすのだ。

女衒は馬耳東風だが。

ま、いますこし
行ってみようとは思う。
終わったところで誰とよろこびあえばいいのか
見当がつきかねるが、
むじなの残党がこちらをのぞいて約3名。
規模の割に、切ない数だが。