天龍八部・第八巻「雁門悲歌」★★★★★
金庸の武侠シリーズもこれで残りは鹿鼎記全八巻を残すだけとなった。

翻訳の土屋文子の後書きはこう結ばれている。

 「官僚社会に比べれば。はるかに自由であるはずの江湖にも、人々のつどう場の宿命として。やはりさまざまな集団があり、それゆえの不合理や窮屈さが生じる。そこで、あらゆる集団を離れたところで真の自由を模索し、個としての生き方をどのように確立してゆくかというのが、金庸の、ことに後期の作品においてしばしばとりあげられるテーマである…」と。

「天龍八部」もまたその気配が充満している。最終巻の大団円だけでさらに数巻の展開もありえたようには思わないでもないが。
八ヶ月。堪能した。

帯に「誰がために花は咲くや」。