萬月の短編集《守宮薄緑》★★★★
新潮文庫版短編集《守宮薄緑》を読んだ。
眠る前に一編だけと思って読み始めたが
けっきょく読み切ってしまう。

  忘れられない女がいる。
  その女は娼婦だった。

と書き出される「裂罅」が強く印象に残った。
ここには現代を生きる大宰がいる。
その思いがさらに濃くなった。
花村にすれば、
「俺は花村萬月だ」となるのだろうが。

切なくて凛々しい短編に、眠れなくなったよ。