夏が、逝く。
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狂ったような蝉たちの鳴声におくられて今年の夏が逝く。

昨三日。夜明け少し前から
蝉が狂ったように鳴き出した。
蝉時雨などという風流さは微塵もなし。
何万匹いるのか何十万匹の声なのか。
どこかおびえたような切迫さで
夜になるまで鳴き続けていた。
夕方になると、街のあちこちで
鳴き疲れて死んだ蝉の死骸を見つけた。
東京のどこにこれだけの蝉たちが、
いのちを育てるための土くれがあったのか。
夕方から、街は秋のような風が満ちていった。
東京はほとんどの地区でこの週末が夏祭り。
秋のように涼しい風の下で、
あちこちで祭りばやしや小さな花火でにぎわっていたが、
いつもの年に比べどこか儚い気配が濃かった。
夜になって、気温はさらに下がる。
夜更けには窓を開けていると寒いと感じるほどになっていた。
二日続いた激しい雷雨がことしの夏を吹き払ったノ
そんなふうにも思う。

そうしてみると二日の夕のバニラスカイと
その前後の冴えた月の光は
夏の終わりを告げていたノことになるのか。
summertime'02パート3のテーマは
だから、

  《夏が、逝く。》