草莽枯れ行く★★★★★
1999年3月に刊行された時にタイトルが気になって買い、読まずに引っ越しのどさくさで消えていた一冊。
その頃は「三国志」できの悪さに、北方を読む気力も萎えていた。

連載中の「水滸伝」の、人が変わったような熱と迫力に、あらためて気になり出した。
一昨日の夜、六本木のABCで文庫判を見つけ、買った。

昨日から読み始めた。北方の「水滸伝」の執拗さの根っこが見えた、そんな気がする。

傑作だった。
その年に読んでいればベスト1だった。

北方版「水滸伝」の着想と展開はとどまるところを知らない。
梁山泊軍と官軍が最初の激突を繰り広げ、
108人の主人公の何人かはすでに倒れた。

太田竜が生きていて、平岡正明がもっと元気だったら
きっと大騒ぎして盛り上がったのだと思う。


こんな小説を読んでいると
仕事のすべてが空しくなる。
だから、大人は小説を読まない。

この国では、そういうことになっている。

「草莽枯れ行く」も「水滸伝」も一度も話題を聞いたことがない。
あたりまえか。