さぼりのツケかな
やっと終わった。

まさか、今夜撮影プランを書くハメになるとはまったく考えていなかった。

口もゆすがず手も洗わず、自宅でパソコン立ち上げたのが午後8時30分。
古河からは1時間ちよっとですっ飛んで帰ったことになる。
もっとも高速ではひたすら眠っていた。

5時過ぎにそばをかきこんでから7時間余り、コーヒーもせんべいも腹にいれず午前1時。
つまらねえ週末になった。

2泊できるようにバッグに着替えを詰め、
小説2冊とDVD版の映画を5枚つっこんで家を出た。

ま、こんなもんだろう。
オフィスにページメーカーを送り、
渡辺にチェックしてもらいファックスを古河に送ってもらう。
ファックス!?

家のファックスを捨ててから丸3年。


まいるよなあ。
手を入れられない、変化させられない原稿など、
書く意味はあるのかだろうか、このご時世に。

一軒の建築物の中でスチール2班は、見ていていかにも苦しく、平野さんも阿部さんもかなりしんどそうだった。アシスタントも殺気立っていた。
加えて代理店がまた物量作戦で人を入れているから、なお気に障った。
あんなに大勢で、ほんとに彼らは何をするのだろうか。

帰りがけに数年ぶりに安井さんと会った。
あの「威風堂々」と並んで新製品が全容を見せていて、
感無量そうだった。

六年前に、暗闇の中でぽつんと
「ぼくにはこれ以上の作品はもうできないよ」と話していたことを思いだした。

息子さんを事故で失ったせいか、
安井さんは昔よりもどこか角がとれ
すこし寂しそうだった。
それがこたえた。

日が落ちた途端に古河、冷え込む。
芳流で打ちあわせを兼ねてそばを食べる。
中山がいないのでカレーうどんを注文した夏苅が、ひーひー言っていた。

今夜ははやばやと熟睡できることだけをたのしみに、
寝不足のまま荷物をつめたが、
なんのことはない今までキーボードとつきあった。

眠気もすっかり覚めたし
飯、風呂とすませたら、さてどうしようか。