《花様年華》の危うさはなかなかだった。
体の芯に残った疲労が、この過剰なまでに説明不足のストーリーを、ほんのりと受け入れているのかも知れない。音楽の使い方、アップとハイスピードのバランス、いずれも心地よく過ぎていった。日本がアジア的な感性からも大きく隔たった国であることを思い知らされる。抑制された関係という、現在的には化石のようなあり方の、凄みをしみじみと感じさせられた。
あれこれやかましい評が多い理由もよくわかる。《気配》だけで成立させる芸当は、子供には通じにくかったのではないか。
深夜にビデオで、観るともなく見ているのには絶好の一本だろう。

レンタルビデオ/VHS/TSUTAYA

しかし、ケースを外しむき出しのビデオテープのみを貸し出すという、TSUTAYAの人を舐めた商売は相変わらずだな。