会いたい人に会えない夜。氷雨がこたえる。
むじなの森の山田将軍と約四ヶ月ぶりに話した。六月の末に九州に向ったときに別れて以来だ。
ワタナベが明日、むじなの森に山田さんのインタビューを録りに行くために、確認の電話をした。
あいかわらず温かみのあるやさしい声音と話し方だった。ああいう人は、根っこが強い。川端の柳のような男なのだ。
ああ、なんだかおれも行きたくなった。
くだらねえ、拉致もねえ《C》の原稿なぞにとっつかまっていなければ、白河越えて行くものを。
声というのは凄いな。
ほんの短いやりとりなのに、この四ヶ月が一瞬で埋められたような気がするよ。

もう何にも残っていない、と言っていた。

せつないだろうな。自分でつくって自分で壊して、跡形もなくしてしまう。

《女鬼》のコピーと《外伝2》の旧バージョン/スタッフ入り、特別編、《外伝1/森のひと編》を土産に持っていってもらうことにした。

めったに思わぬことだが
今夜はワタナベがうらやましいぞ。
なんだかホモの気持ちがわかるような気がする。


だめだ。
帰って、くそして寝る。