飛べない。
エネルギーがどんどん吸い取られていくようなこの感覚はなんなのか。夜のせいなのか。書けず。鼻歌きぶんで書き飛ばしてきたはずの芸者仕事が、なぜこんなに難しく感じるのか。女にふられて月に向かって吠えまくっていると噂が流れているよ、と井口が言っていた。笑ってはみたが、これだけ仕事を放棄していりゃ、ま、そんな話がオチだろう。それもいいかなと、ふと思ってみる。少なくとも書けない理由にはなるだろう。演出だけならと引き受けた仕事も、演出プランがカタチにならない。
根底で、その気になれてない。
その気になるという感覚が遠い。
直感的にたどりつけていたはずの場所が
奈落のようにしか視えない。
だから、飛べない。


思っていたより、
ずいぶんきつい、な。
音を上げそうだ。