咳の一つに消されたり
アテンダントのディレクターの一人、坂本君から手紙が届いた。彼もまた消炎するために苦労しているようだった。彼らは終わってからまだ2週間足らず。ムリもない。

古いメモを読む。
3ヶ月という時間が夢の彼方のように思えた。
そのメモを書いたのがたしかに自分だったのかどうか、笑ってしまうほどに遠い時間になっていた。
解体はどこまで進んだのだろうか。
あの幻のような夜の空間は、ほんとうにそのカタチを永遠に沈めたのか。
おれが蒔いた「森の人」を燃した灰は、確かに土くれのなかに溶け込んで、あの森の一部とひとつになってくれただろうか。

いつか季節が過ぎたら、
もういちどあの場所に立って
宇崎の「夜霧のブルース」を
誰もいない森に向けて最大のボリュームでかけてみたい。

だからなんだ、というわけでもないが。