1と30の間にある奈落
たとえばそのシーンは約12秒。
ビデオだから、コマなら30×12=360。

そのなかのわずか1秒前後の短い動きも、コマでチェックすると30前後の画像に分解できる。
一瞬の足の動き、指先の指す方向、手が向う先、眼の動き、全体の気配など、分析的に見ていくと、思いがけない《事実》というかコトの姿が現れてくる。

たとえば水を撮る。
流れる水はひとまとまりの流体にしか見えないのに、コマで見ていくと水の粒子が一瞬の間も休むことなくカタチを変容させ続けていることがわかる。
流れる水の表面は伸縮する無数の水の粒子たちがまるで永遠のダンスを踊っているように感じる。
焔もまた同じだ。

まさかと思った意味や意義が、一コマに分けてみることで見えてくる。
いや見えているように感じられてくる。

これは真実の破片なのか無意味の連なりなのか。おかしいが、すこし怖い。