たぶん最後のむじなの森だより
Subject: [the-earth:00461] 虹の彼方に

ましこ@むじなの森です。



  ただいま午後五時。
  本日の予定した9回の上映がすべて終了しました。
  心配した雨ですが、むじなの神通力が効いたのか
  最終回終了とともに雨となりました。
  いまスタッフが降雪状態をチェック中。
  内は雪。外は雨。
  まことに不思議な塩梅です。

  初回は100人あまりでしたが
  二回目以後最終回まで連続して満員盛況でした。
  ジ・アース館の土壁のまわりをぐるりと来館者が取り囲み
  ときどき「森のひと」が発する水しぶきを浴びては笑っていました。
  30分も待ってわずか10分しか上映時間がないにも関わらず
  みなさん満足した顔で引き上げていきます。
  初日だけで四千の笑顔に出会ったことになります。

  未来博の急先鋒としての役割をぶじに果たすことができました。
  これからは、二十日にスタートする「ナイトファンタジア」とともに
  会期中の母艦としての役割を果たしていくことになります。
  
  東京の、あるいは各地に散っているすべての関係者のみなさん
  どうぞ祝杯を、おあげください。

  むじな山のむじなの森は雨ですが、
  これは喜びの雨。だよね。

  
  と、ここまで書いたところでさっきまでステージで反省会をしていた
  運営スタッフの鬼教師のお三方が帰京の挨拶に顔を出されました。
  こうして山からは一人二人と去っていきます。
  見送るのと見送られるのとどちらがいいのかな。

  一人ひとりを最後までこの目で見送ってやりたい気もするけど
  ま、それはいい。
  いつかどこかで、またお会いする日もあるでしょう。




  この二週間、もくろんだのは、
  むじな山のむじな森を舞台にした新世紀・梁山泊物語。

  二十世紀のアクを捨て去り、百年千年を見据えた
  新しい「森に沈む都市」をつくっていこうという旗印をかかげた
  福島県のその果てしない心意気にこたえ、
  ぼくたちにできるおぜん立てはここまで。

  たぶんそれぞれができる最大の力を発揮できたたかなと自負しています。


  
  ぼく自身がひそかに夢見た物語は今夜で幕を降ろします。
  明日七日の一般公開を見たら、一足先に山を下ります。
  むじな山のむじな森のお話は、だから今夜で終わります。
  明日からは、森の博覧会が始まるから、ね。


  それではみなさんさようなら。
  


  と、ここまで書いて外から「すごい夕日だぞ!」と声がかかる。
  居合わせた全員が外に出て夕日に見入った。

  そのすぐ後で、虹がかかった。いま午後七時。
  虹だぞ、虹。
  ジ・アースの後ろの大観覧車のその上にくっきりと七色の虹がかかった。

  この虹を全員で見たぞ。
  

  ほんとうは、終わりの言葉、別れの挨拶を書くつもりだったけど
  あまりの興奮にひらがな入力ができん。

  すまんが、これで終わるぞ、今夜は。
  書いてはいけないことまで書いてしまいそうだから。