ポップ1280は★★★
「ポップ1280」ジム・トンプスン/扶桑社/三川基好訳

パルプノワールはやっぱり「パルプ」じゃないだろうか。
しょせんはザラ紙止まりだろう。

ただアメリカはサイコ・ミステリーがほとんど病的な次元にまで落ち込んでしまったから、どこか牧歌的な、そのくせ野放図な悪らつさに満ちた、こんな古手が再評価されるのではないか。

この国もまた然り。
ホワイテイングの六本木物語「アンダーザワールド」などという噴飯物がそこそこベストセラーになるというのも同根ではないのか。

ついこの間まで防衛庁の正門の真ん前のビルに広域暴力団の看板が堂々と掲げられている国のどこに「アンダーザワールド」などという夢物語があるというのか。
この国に「闇」などない。
すべては白日の下に晒されていながら、誰も驚かないし、気にも留めない。

「ポップ1280」がベスト10のトップになったりするということは、単にそういうことだ。
どうでもいいことだが。