重信さんの髪の長さ。
大阪で捕まったと昼のニュースで。
17歳。高校生の頃を思い出す。
お茶の水、明大の学生会館。
赤い薄っぺらなヘルメットが転がっている
廃虚のような時代の坩堝。
長い真っ黒な髪をしたいつも元気な人だった。アラブのどこかでテントの中で砂塵とともに生きているのだと漠然と思っていたが…

オリアナ・ファラーチの肖像写真を「ひとりの男」のブックカバーで初めて見たとき、重信さんが年をとるとこんなふうになるのかなと想像したことがある。

極道の世界では女傑のことを「姐」と呼ぶとか。重信はあの頃の、時代そのものの「姐」の一人ではあったな。

田宮さんも北朝鮮で病死したというし、
ほんとに20世紀も終わる。
いささかセンチメンタルな午後となった。

東京11月8日正午、気温21℃
街でTシャツ姿を見かけた、箍の外れた晩秋。


しかし重信さんは何に向って誰に向ってどんな時代や思潮に対して、親指を上げたのか?
あるいは二十数年の自らの幻影へのはなむけか。

横江、賢明さん、どう思った?


おれはこれから資本の走狗として夜までを過ごす。書ければの話しだが。