別冊宝島用今年のミステリベスト6
●2000年ベスト6[海外篇]
1「神雕剣侠」金庸 徳間書店
2「骨の袋」スティーブン・キング 新潮社
3「囮弁護士」スコット・トゥロー 文藝春秋
4「子供の眼」リチヤード・ノース・パタースン 新潮社
5「フリーダムランド」リチャード・ブライス 文藝春秋
6「シグマの誓い」ロブ・キーン 早川書房
 
まずは愛。さらに愛。それなくしてこの世紀を越えることはできない。
金庸はその愛を波乱万丈の芯に据え、怒濤のように五感を刺激する。
キングもまた映像では絶対に実現できない、めくるめくような
フラッシュバックを駆使し、失われた対の愛を愛惜して見せる。
時代と文体は違っても、この二作からひしひしと伝わるのは
「愛におぼれたっていいじゃない」というそのひと言。そうでなくっちや。

●2000年ベスト6[国内篇]
1「希望の国のエクソダス」村上龍
2「GO」金城一紀 講談社
3「一瞬の光」白石一文 角川書店  
4「始祖鳥記」飯嶋和一 小学館
5「風転」 花村萬月 集英社
6「葬列」小川勝己 角川書店

もっともスリリングでミステリアスな一冊が「希望の国の…」。
作家だけに備わり許される錬金術のパワーを見せつけられた。
 翻訳ものと比べると、どの一冊をとっても日本がほんとうに
失速し失力しきっていることがよくわかる。小説はよくできた鏡だな、
そんなことを実感させられた一年。
 この国の国境がますます堅固になりつつあるような気がしてならない。
さみしくはないのだろうか?