世紀末の噴煙がいちめんの黄の海に降り積もる。
磐梯山が揺れている。
ひまわりの撮影場所はすぐふもとの猪苗代町の郊外だったから、ロケは中止になって正解だった。あの巨大複眼カメラを数十人のスタッフで移動していたらと考えるとホッとする。ホッとはしたが、憂いも濃くなった。磐梯山噴火の可能性が報じられたのは、ちょうどふもとの旅館に泊まっていて大きな地震で早朝に起こされた四月だった。会津若松の待ち受けていた桜が満開の報せが届いたその日のことである。新幹線はストップし、けっこう騒ぎになっていた。それから春、初夏、盛夏とあの周辺で三度のロケを続けてきた。ロケハンなどをいれると磐梯山の周囲を周遊し続けていたようなものだ。
いささか不謹慎な想像ではあるが、磐梯山が噴火し、あのふもとのひまわり畑に火山灰が降りかかっている、そのときあの黄色い花の群れはどんな姿に見えるのだろうか。
あくまで人間への被害がないていどの噴火の場合だが、その光景をこの目で見てみたい、とは思う。20世紀の終わりの夏に宝の山と歌われたその磐梯山がミレニアムの大花火を打ち上げ、世紀末の噴煙が一面の黄の海を埋めていく。
やっぱり不謹慎かな。

さて、これからどんなことになるのか。
磐梯山もわが水の惑星の撮影も…