2000 08/12 00:32
Category : 日記
「GO」金城一紀/講談社
帯に山田詠美が「古き良き青春小説の系譜として読むか、新しいレジスタンス小説の誕生として受け止めるかは、あなたの御自由。いずれにせよ、愉快、痛快なこの物語の主人公に、読者は、はからずも涙する」と。
これがいちばん正しい読後感だと思う。
さらに付け加えるなら、すべてのことをみごとなまでに対象化しきる力はどこから来るのか。金城自身が「在日」であることと、それはどのくらい関わりがあるのか。ないのか。日本では決して育つことのない感覚が200ページ余りの中編のなかにきらびやかに鏤められている。白石、村上、金城と傾向もスタイルも全く異なる小説家たちの作品を続けて読んだが、いずれもこの国がいま抱え込んだまま沈没していこうとする解決困難な課題を鮮やかにすくい取っていて、「日本」がいまほんとうに力を持っているのが、映画でもゲームでもなく、小説なのだということを実感させてくれる。
この国の小説が「普遍的な」問題を描いて成立しているという、いわば未曾有の出来事がいま目の前で起きていることを目撃できることをストレートに喜びたい。
一昔前なら「直木賞」ではなく「芥川賞」だと思う。
恐れ入ったよ。
帯に山田詠美が「古き良き青春小説の系譜として読むか、新しいレジスタンス小説の誕生として受け止めるかは、あなたの御自由。いずれにせよ、愉快、痛快なこの物語の主人公に、読者は、はからずも涙する」と。
これがいちばん正しい読後感だと思う。
さらに付け加えるなら、すべてのことをみごとなまでに対象化しきる力はどこから来るのか。金城自身が「在日」であることと、それはどのくらい関わりがあるのか。ないのか。日本では決して育つことのない感覚が200ページ余りの中編のなかにきらびやかに鏤められている。白石、村上、金城と傾向もスタイルも全く異なる小説家たちの作品を続けて読んだが、いずれもこの国がいま抱え込んだまま沈没していこうとする解決困難な課題を鮮やかにすくい取っていて、「日本」がいまほんとうに力を持っているのが、映画でもゲームでもなく、小説なのだということを実感させてくれる。
この国の小説が「普遍的な」問題を描いて成立しているという、いわば未曾有の出来事がいま目の前で起きていることを目撃できることをストレートに喜びたい。
一昔前なら「直木賞」ではなく「芥川賞」だと思う。
恐れ入ったよ。