処女作即ち名作「一瞬の光」
「一瞬の光」白石一文/角川書店

一気に読んだほうがいいようになぜか思えて、机の脇に積んでおいた。で、一呼吸入れる必要ができて、手にとった。いま読了。ひさしぶりに飯を食いながら、風呂の中で、トイレに腰を下ろして読ん続けた。

何と言えばいいのかな、清い物語である。スゴイ物語である。この20世紀最後の日本に血迷ったチャンドラーがよみがえり、気高い騎士道物語を書き下ろしたらこの「一瞬の光」になった、そんな小説である。

チャンドラー没後、世界の誰にも書くことのできなかった、ハードボイルドという名の奇跡のファンタジーを、名も知れぬ新人が描き出した。
白石一文。
いやたいしたものである。
処女作にして名作である。
おそれいりました。

これでこの夏は点睛が入ったな。