さらば六本木、風吹くスタジオよ
A編集室の入っていたビルのスクラップがはじまったらしい。
夜になると隣のカラオケの騒音が聞こえ、
駐車場にコインを投じる音がした、
天窓を開け放つと風の通り抜ける
あの開かれたスタジオの入っていたビルが
森ビルお得意の再開発で取り壊されるとか。
三菱電機三部作、日立サイエンスシリーズ二本、レガシー、風のササヤンカ村、天然の日本シリーズ、ある日曜日、威風堂々…
思えば、いまなお己の記憶に残り、両手に余る賞をもらった作品をつくったのがA編だった。

編集に飽きるとウェーブに逃げ出して
新着のアルバムチェックをし、
ABCでミステリーを探し、例の立ち食いそば屋で握り飯とコロッケそばを食いながら飢えと
クライアントへの不満をごまかしていたな。

そのウェーブもない。シネ・ヴィバンもない。

六本木は、まだカルチャーの街であるのかね?
キャバクラと珍妙な仕掛けの風俗と見た目はエリートビジネスマンもどきの洗練?されたやくざのほかには、なにがあるのかね?


それにしてもだ、よ。