覚え書き

京都の金戒光明寺の墓地には、春日局と二代将軍の徳川秀忠夫人お江与、そして秀忠の次男で徳川家光の弟である徳川(松平)忠長の供養塔があります。

春日局は、ご存知のように明智光秀の重臣であった斎藤利三の妻で、本能寺の変後に豊臣秀吉の世になり苦労しましたが、徳川の世になり、二代将軍徳川秀忠の長男の家光の乳母になります。

その後は、家光を三代将軍にすると出世して春日局となります。

金戒光明寺は春日局とも親しく縁があるので、自分の供養塔と、さらに徳川秀忠夫人のお江与と徳川忠長の供養塔も建てたそうです。

お江与は、織田信長の妹のお市の方の三女で、長姉には淀君がいます。

お市の方の娘であるために姉らと共に数奇な運命に翻弄されますが、豊臣秀吉の計らいで、徳川秀忠の妻となり、千姫や家光や忠長らを生みました。

徳川秀忠が二代将軍となると、長男である家光よりも次男である忠長を寵愛し、忠長を三代将軍にしようと働きかけます。

ここに、家光派の春日局と忠長派のお江与らとの世継ぎ争いとなりますが、家康が長男である家光が三代将軍とはっきり示したために、争いは春日局ら家光派の勝利となりました。

また、忠長はその後にいろいろ問題をおこし蟄居となりましたが、父の秀忠や母のお江与が亡くなってからは奇行や問題が激しくなり、ついに切腹となりました。

春日局にすれば、お江与や忠長にいろいろ複雑な思いもあり、供養塔を建てたのではないでしょうか？

ちなみに、３つの供養塔で、真ん中で１番大きいのが徳川秀忠夫人のお江与の供養塔で、次に大きいのが徳川(松平)忠長の供養塔で、自分の供養塔は１番小さく端に建てられています。